yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

宮沢賢治詩集

宮沢賢治詩集】宮沢賢治 谷川徹三編 岩波文庫 ★★ 2005.1.9

 

 かなり取っ付きにくかった。良いと思えるフレーズは随所に見られた(特にタイトルに於いて)けれども、一篇の詩(心象スケッチ)として今後とも大事にしたいと思えるものは殆ど見つからなかった。読み解く力が不足しているようだ。
 大まかには作成順に収録されているので、通読することで詩の雰囲気から氏の一生の浮沈を感じられるところは面白い。前半のテクニカルタームの氾濫は、“若書き”ということを頻りに感じさせ、後半は農と病が詩が纏(まと)うペースを緩やかにさせているように思えた。肺炎詩篇は特にやるせない。
 最後に序を読み直した時に立ちのぼる感慨は、論文を読み終えた後にアブストラクトを再読した時の感慨と同じだった。思わず首肯したくなる感慨。