【戯れに恋はすまじ】ミュッセ 進藤誠一訳 岩波文庫 ★★★★★ 2005.2.5
珍しく少し浮かれるというかそんなような気分になる出来事があったので、単純で安直な感じだけれども手が伸びてしまった一冊。タイトル中の“すまじ”というのが、“済まないだろう”という意味なのか、“してはならない”の意味なのか分からず、読んだら判るだろうと思ったけれども、読了後の今も判らない。ただ前者の解釈の方が正しい気はする。しかしどちらに解釈してもそれらしいと思う。
すれ違いの痛々しさ。盲目になっていないつもりのたちの悪い盲目。気付いた時には他人を巻き込み傷付けている。読んでいて水気の抜けた哀しみが湧いてくる。