yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

不自然な死

【不自然な死】ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子訳 創元推理文庫 ★★★ 2005.5.25

ピーター卿もの

 

 犯人よりも犯行手段に謎の重きがあるミステリ。おそらく発表当時はかなり斬新な手段だったのだろうと思われる。今読むと少々陳腐になるが、別個のトリックもあり、そちらはまんまと引っ掛かってしまった。特に15章に於いて、一生に一度は如何にも遭遇しそうな人間的な場面の巧みな書きぶりにいたく感心していたら(実際その章だけ後で読み返そうと思ってしおりした程であった)、その感心の内にすっかり騙されていたのだった。

 登場人物表に挙げられていない登場人物が多い。キャラクタの失念が重なり、通読に些か辟易した。