【富豪刑事】筒井康隆 新潮文庫 ★★★★ 2005.5.27
「左慈仙人」を引きずり、ドタバタ繋がりから選んだ一冊。筒井氏初のミステリ作品とか。
遊びとプロットを重視して、退屈なところは容赦なく割愛。滑らかな小説ではないが、非常にテンポが良い。改行と場面の関係取り扱い方を特記しておきたい。大富豪で刑事という設定から可笑しいが、他の登場人物もちゃんとその可笑しさに気付いているし、作者の筒井氏もそうだが、誰も彼もが話を可笑しくしようとちょこちょこ動き回ってくれている。
全4篇、回を追う毎に笑いどころが増す。ジェームス・キャグニイばりの刑事の喋り方と、署長のおまけ的位置付けが壺であった。
割愛されたサイドストーリィが作品化されたら是非読みたいものだ。