yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

リュパンの告白

リュパンの告白】モーリス・ルブラン 井上勇訳 創元推理文庫 ★★★★ 2005.6.3

アルセーヌ・リュパンシリーズ

 

 相変わらず軽快。忍術に近い気の効いたトリックと、笹の葉切れのようにすらりとしたロマンスが、現れては立ち消え、現れては立ち消えする。マンガ化されたり、少年少女向けにリライトされて広く親しまれてきたことも、さすがに分かる気がする。しかしながら、通読してみると、けして勧善懲悪というわけではなく、善良な人々を虚仮(こけ)にする毒ある場面もあって(特にガニマール警部に対して)、ちくりと痛い。