【伊豆の踊り子・温泉宿 他四篇】川端康成 岩波文庫 ★★★ 2005.6.8
川端康成初読み。意外に落ち着きがなく、散文的でいまいち読み込ませてもらえない作品が多かった。作者20歳台の作品ばかりが収められているとのこと。それ故か。
最も有名な「伊豆の踊り子」が一番読みやすく、私の好きな鄙と適度な花があった。道連れと情けのある独り旅の理想形。高校生にしてこれほど気ままな旅が実現できるとは、羨ましい。
他には、「春景色」における山の木々に対する視点が収穫だった。まばゆい色彩に追いやられる前のつつましい季節は極めて短い。