yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

リセット

【リセット】北村薫 新潮文庫 ★★★★ 2006.8.16 《時と人》三部作の三

 

 偶々(たまたま)手にしたのが所謂終戦記念日だった。タイトルから戦争の話が出てくるとは予想外だったし、靖国という言葉も出てきて、幾らかタイムリー。

 都合の良い“リセット”の意味で物語を先読んでいたら、大間違い。時を接いでくれるのは、木下夕爾や啄木の歌、フライ返しに春に一度の五月、それに流星群……。本読みに贔屓なアイテムに魅了され、こちらの手まで彼らの支えになればと、差し伸べたくなるよう。巻末で宮部氏が言うように、時が優しい物語。同時に、北村薫の優しさが結晶した作品でもある。