yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

巷説百物語

巷説百物語京極夏彦 角川文庫 ★★★★ 2007.2.26 巷説百物語シリーズ

 

 京極夏彦は、脳内で作品の形が既に見えていて、木彫り師が原木から仏を切り出すように、白紙の中にある作品を活字で掘り起こしていく内に作品ができてしまうらしい(勝手な噂ですが)。この巷説シリーズでは、成る程、その言が的を射ていて、人間や事件、時間、空間、いろいろな要素が作り上げる構造を、まさに“説明する”小説家だとの感を強くした。短篇だからか、その構造のエッジが際立って感じられた。

 百介は、2篇目以降もずっと登場するとは、相当な物好きだ。