【にごりえ・たけくらべ】樋口一葉 岩波文庫 ★★★★ 2007.9.29
姓が共通する、ただそれだけで昔から気になっていた氏だったが、どうにも雅な(?)文章が高いハードルとなって、なかなかいざ読む決心がつかずにいた。この決心をつかせた切欠は、先頃、私が既に、氏の生涯以上に生きている事実を知ったことによる。
にごりえ。誰もが隣人と互いに心をすれ違わせ、稀な素直が発せられても、これを受け取る器のかぶきよう……つれなし。
たけくらべ。龍華寺の信如が理解る。アケロンテの川すら渡れぬ拱手。
お力や美登利を、ジュサブロー館で見たかったが。訪ねた日には、そこにおらず。