yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

贈る物語 Wonder

【贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに】瀬名秀明編 光文社文庫 ★★★★ 2007.12.7

 

 粒よりのアンソロジィだった。一度にこれだけの物語を、それも全てお薦めの物語を贈ることができるのは、編者としての一番の冥利だろう。

 「夏の葬列」。心臓に消えない型がつくような鈍器の衝撃。

 「愛の手紙」。ジャック・フィニィへの興味がまた促進される。

 「よけいなものが」。メビウスの輪的完璧、その最小R(半径)での実現。五体投地で応えたいほど。

 「絵の贈り物」。こういう企画ものが、文庫で読めるのは嬉しい。紙風船の瞑想的、に共感。

 「托卵」。平山夢明への偏見がやや融解。。書き割り世界とは一線を画した向こう側を、厚みある確かな文体と描写力で立ち上げる。