2008-01-21 龍宮 読んだ本 【龍宮】川上弘美 文春文庫 ★★★ 2008.1.21 正直あまりパンチを感じられなかったが、一冊の本としてのテーマ性はとてもしっかりしていて、並んだ目次を眺めてもわかるが、なかなか面白い試みになっている。初めて倉橋由美子と作品印象がリンクした。異形のものが多々描かれつつも見た目の恐さは皆無であるところでは、「田紳有楽」の影響を強く感じる。私は百閒を知らない。 「島崎」が最も好み。二人の間に、皮膚感覚という文字通り皮一枚の、何と煩わしい障碍。剥ぎ取り、生肉に生肉を溶かすことができたら。