【海神別荘 他二篇】泉鏡花 岩波文庫 ★★★ 2008.2.16
表題作、何か既読感が拭えなかったが、やはり以前に読んでいて、あるフレーズで確信に変わったのだった。最後の場面、(話の)風呂敷がびりっと破かれたそうになりひやっとさせられるが、するりと流水のように安定した準位に収まり、小さな花さえ開くので、ほっとする。こんな結末だったのだなあ。
真ん中の篇、山吹には、加虐の一場があるけれど、今年の年末年始に読んだ「金色夜叉」を不意に思い出した。文体も、というか(書かれた)時代が、やや似通うのがあり。早く感想を書いてしまわなければ。