【幽霊たち】ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮文庫 ★★★★ 2008.3.31 ニューヨーク三部作
ものに置き換えることができたら、いかにも“現代”美術館に展示されていそうな作品。今っぽさを感じる。もう少しキーワードに落とし込むなら、匿名性、無臭、ドライ、とか。ブルーの過去のエピソードがいくつか、待ちわびた甘露のように配されて我々はやや口を湿らせることができるようではあるけれど、よく舐めたらこりゃおはじき、閉じ込められた露は飲めず、無味。その他、ASCII(アスキー)アートじゃないが、記号が、動いたり、関連し合ったりしている感じ。
ニューヨーク三部作の他の二作も探してこよう。この作品と同じように、なんとなくハードボイルドだと良いな。