【「愛」のかたち・才子佳人】武田泰淳 新潮文庫 ★★★ 2008.4.12 絶版
ここら少し愛をテーマに読み物を選ぼうと思って、まず手に取った一冊。
「「愛」のかたち」が、その狙いに最も照準があった一篇だった。多数の登場人物、その誰もが愛のあるべき姿を明確化、実体化できないために、只管(ひたすら)に苦しみ、混迷の深める関係。関係の解決した姿が、一つには愛のかたち、を示すものかと思うけれど、このかたちの見当たらなさは。途方に暮れよ。もやもやした読後感が保証されます。
「女賊の哲学」、どうも既読感があるなと。すると十三妹(シイサンメイ)が不意に出てきたので、驚いた。確かではないが(確かめる手間を省くが)、多分「女賊の哲学」の方が先行作かと思う。