yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

クリムト――世紀末の美

クリムト――世紀末の美】ラ ミューズ編集部編 講談社文庫 ★★★★ 2008.7.31 文庫ギャラリー

 

 今は行方知れずのR氏が、クリムトの「接吻」に(敢えて書くなら魂を)何度も救われたと言っていた。私もこれまでにも良くこの「接吻」の男女のバストアップでのカット写真を目にしていて、何だか分からないが溢れる愛(だか、何というか生を肯定する念)を感じ取っていた。しかし本書により、全体の構図、特にその配色(膚色も然り)を見るに、実は、地(地と図というときの地)に、人間五十年云々、とか、泡沫扱いされる儚さなり死臭が塗り込められているようである。1907~08作とあるから、ほぼ丁度100年前のゼロ年代のウィーン発頽廃気運をまとっているわけだ。今のゼロ年代と比べてどうだろう。

 話を半分戻して、半分更に変えさせてもらうと、「接吻」の女性の足元付近には、黄金の蔦(つた)が絡んでいる。蔦、という字がとても好きだ、ということが書きたかった。

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