yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

悪魔のラビリンス

【悪魔のラビリンス】二階堂黎人 講談社文庫 ★★★★ 2008.10.5 二階堂蘭子シリーズ

 

 活劇的ミステリ。私には、その実は詳らかでないが、乱歩の明智小五郎ものがまさにこんな読み味なのだろうと思う。

 第一部の奇術的トリックは、名探偵蘭子の親切なトリック解説により、実際のところ自分の頭で謎を必死に解こうとはせずにほいほいと頁を繰ってしまう“考えない私”にも、十分に理解がいき、感心、嘆息するトリックであった。

 第二部は、トリックよりも、ぞくぞくはらはらのサスペンス感を煽る冒険的場面が読みどころ。

 この作品を前菜として、この後メインディッシュ的長篇が二作品続くようなので、期待していようと思う。

 

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 「深讎綿々(しんしゅうめんめん)たる」という用語だが、讎は讐の正字ということなので、敵(かたき)への深い恨みが途絶えることなく続くさま、を言う。どうもミステリ作家やその方面の関係者がよく使う表現らしく、横溝正史江戸川乱歩辺りの作品に使用例があるとみた。留意しておきたい。