【若き詩人への手紙 若き女性への手紙】リルケ 高安国世訳 新潮文庫 ★★★★ 2008.9.29
前半は若き詩人への、後半は若き女性への往復書簡。リルケ自身はともかく、手紙をやり取りする相手まで、とても正直で、感情に従順な素敵な書き振りなので、それだけでほっとため息が出てしまう。
40頁の職業についての言及、60から61頁のあまり自分自身を観察しすぎるてはいけないということ、78頁の男性の愛のものぐさ、などが、記憶に残る。言い方が柔らかいので、水のような親しみのうちに意見を消化できる。
若き詩人カプス君は、「魔の山」のハンス・カストルプ氏と重なって見える。名前が似ているだけかも。一応、手紙が交わされた時代と、「魔の山」が世に出た時代は、見事に重なる(1920年代)ことは付記しておく。