yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

魔の山(上)

魔の山(上)】トーマス・マン 関泰祐・望月市恵訳 岩波文庫 ★★★★ 2009.2.2

 

 見ればこれも1920年代の(1924年に出版された)作品であった。

 厚い本。しかし、まえがきにあるように、(読了に)まさか7年もかかるまい、ということで、挑戦的な気持ちで読んでみた。上巻でまず40日くらいかかった。下巻はまだ読み途中。

 私の現況を丸写ししたような小説。読書行為はそのほとんどが個人的な体験。けれども、凡百の小説をぐんと引き離して、作品の私有化・私物化を叫びたくなる。私の現内面に肉迫、侵入してくる内容、今はもう腹の奥にどかりと居座っている。読んでいない時でも、頭の中で復唱され、いつもそばにいる。今も只中。ハンス・カストルプは魔の山にいて、それを覗く私も魔の山にいる。