【ガリヴァー旅行記】スウィフト 平井正穂訳 岩波文庫 ★★★ 2009.3.30
旅行に携行する本を選ぶとき、私は旅行記を選ぶ傾向があるのだが、これもそのように読まれた一冊。
各所で註釈を引くと、スウィフトの時代の諷しまくりの様がよくよく分かってくる。それはそうと、人は他者に相対すると、相手を小人のように、または大人のように、さらには獣人のように目して、我が身を大人のように、小人のように、使役者のようにと、それ相応の態度を装うものだ。話の通じない相手には、夢想的だと揶揄したり、こちらの言い分に応えない相手には、狭量だ小心だ、と決めつける。本書は、そういう見知らぬ人同士、異文化に育った人同士が相対した時の、人間図巻の体がある。
フウイヌム国にいるヤフーだが、これは(家畜人)ヤプー命名の元ネタの一だろう。
「ガリヴァー旅行記」(1726/1735年)は、トマス・モア「ユートピア」(1516)とダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」(1719)があって生まれた。