yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

夢野久作全集7

夢野久作全集7】夢野久作 ちくま文庫 ★★★★ 2009.4.21

 

 「暗黒行使」(ダーク・ミニスターと読むのが定説)を収める。この一長編で一冊。長編の割に、知名度が低いのか、この作品についての前情報は全く見聞きすることがなかった。

 冒頭から結末までの、物語中の時間経過はわずかだが、そこに差し挟まれる過去の話や手紙や新聞記事類に費やされる枚数が尋常でなく、久作作品特有の酩酊感覚が今作でも味わえる。全体に活劇的な調子。暗躍者があまりに多いところ、よくよく噛み締めると思わず笑みが溢れる。秘密結社を絡めるなど伝奇にも接近しているようにも思う。

 

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 ・p.105:“ポンチ絵”という語。この言葉は、カリカチュアで一世風靡した雑誌「パンチ」が語源だという。

      パンチみたいな絵→ポンチ絵。

 ・p.222:真摯なお詫びの仕方の勉強になる。