yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

最後の物たちの国で

【最後の物たちの国で】ポール・オースター 柴田元幸訳 白水Uブックス ★★★★ 2009.5.30

 

 この手紙文の物語は、“私はここにいて、あなたはそこにいる。”の一言に尽きると思う。手紙(や電子メールや電話といった間接的連絡手段)は、あなたと私のそれぞれの世界を琴線的関係で結ぶもの。予期せぬ人からの手紙、既定されていなかったあなたの中のあなただけがあなただ。受け取ってしまったからには、もうあちらの世界とそこにいる彼女のことを気にせずに時を過ごせない。

 p.45に“クィンがいう名の男のパスポート”が出てくる。「シティ・オブ・グラス」の主人公と同名少なくともカタカナ表記上は。可能ならいつか原文で確認しておきたい)。意味深。