yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

江分利満氏の優雅な生活

江分利満氏の優雅な生活山口瞳 新潮文庫 ★★★★ 2009.7.9 第38回直木賞受賞作

 

 昭和のサラリーマンの典型を描いた、有名作。酒好きでサラリーマンなら(それに少しでも昭和という時代に追憶するところある方は)、読まない手はないと思う。

 職場の男女格差、いつの時代も叫ばれるこれから先の時代に対する憂慮、酒盛りの様子、社宅暮らしにまつわるエトセトラ。私自身は、江分利満氏と2世代の隔たりがあるが、手の届きそうなところに昭和が立ち上がる。気軽パンツ、大いに結構じゃないか。私の父親は、江分利満氏のように、長らく毎日遅刻出社していた——そのことを思い出させてくれたが、それでもそれが原因で馘首されることはなかった。

 江分利庄助のその後の挿話を読んでみたい。それはつまり、私の両親の時代に掛かってくるから。その時代の、エブリマン氏を描いた小説はないのだろうか。