yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

仕事のなかの曖昧な不安

仕事のなかの曖昧な不安 ——揺れる若年の現在】玄田有史 中公文庫 ★★★ 2009.12.14

サントリー学芸賞、日経・経済図書文化賞受賞作

 

 一言でいうと、社会構造が若者の仕事や雇用機会を奪っている、という話。

 私の職場にも、この本で書かれた内容の具体例をいくつか見ることができる。例えば、職場の平均年齢の高さ、飽和したポスト、仕事量格差(労組に保護されない管理職に上がった方々を始め、特定の人の仕事量の多さといったら、ない)、仕事の質の格差(若者は常に"追い回し"、頭を使う機会が滅多にない、次に後輩が入ってくる時機がいつとも知れないので、いつまでもこのような雑用ばかりさせられるのだろうか、という強い先行き不透明感)、といったところ。本書が教えてくれたのは、これらが、ただ私の勤める社内だけの問題ではなく、もっと大きな社会構造による問題の一具体例だというもう一歩外側の視点である。不安いっぱい、精神的にいっぱいいっぱいになって働く視野狭窄に陥るばかりの日々に、時々こんな本を読むと気が楽になる。