yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

今日買った本

■今日買った本。計12760円。

 

a)ブックオフ福岡トリアス久山店にて。→本20%OFFセールをやっていた。

1・手塚治虫『人間昆虫記』大都社 ¥288

2・山上たつひこ『続々々・喜劇新思想大系』秋田文庫 ¥86

3・井筒月翁『維新俠艶録』中公文庫 ¥86

4・志茂佳人『鬼伝説の謎 大江山伝説考』トレビ文庫 ¥86

5・関川夏央『「名探偵」に名前はいらない』講談社文庫 ¥87

6・山本忠敬・作『ひこうじょうのじどうしゃ』福音館書店 ¥160

7・増田純子・作『ぽつぽつぽつ』福音館書店 ¥160

8・来栖良夫/古田足日/堀尾青史・編『父が語る太平洋戦争3 燃える日本列島』童心社 ¥86

9・ジョージ・マクドナルド・作、村上光彦訳、渕上昭廣・絵『マクドナルド童話全集1 王女とゴブリン』太平出版社 ¥87

10・ジョージ・マクドナルド・作、蘒原富美枝訳、D・P・ラスロップ/本庄久子・絵『マクドナルド童話全集4 ふんわり王女』太平出版社 ¥87

11・岡本文良・作、こさかしげる・画『夜明けへの道』金の星社 ¥87

12,13・石川道子/今井幸子訳『せかいのどうぶつ 110のどうぶつなかまがしゃしんで見られる 1,2』ライブ 各¥160

14・荒川薫・作、長繩栄子・絵『ぼくおおきくなった?』福音館書店 ¥86

15・宮下正美・文、村上幸一・絵『のっぽのっぽのきりんさん』フレーベル館 ¥86

16・小林勇・文/絵『こおろぎ』福音館書店 ¥360

17・ジャン-リュック・クードレイ・文、フィリップ・クードレイ・絵、大沢類訳『まちがいペンギン』リブロポート ¥320

18・グリム・原作、スズキコージ・絵、池田香代子訳『ブレーメンのおんがくたい』三起商行ミキハウス ¥240

19・北彰介・文、太田大八・絵『なんげえはなしっこしかへがな』銀河社 ¥86

20・小林輝子・再話、赤羽末吉・画『にぎりめしごろごろ』福音館書店 ¥86

21・工藤直子・作、中谷千代子・絵『らいおんはしった』福音館書店 ¥86

22・松野正子・作、大沢昌助・絵『うさぎうさぎなにたべてるの』福音館書店 ¥86

23・ヴァージニア・ハヴィランド・編、レイモンド・ブリッグズ・絵、小林忠夫訳『ブリッグズの世界名作童話集1 三びきの子ぶた』篠崎書林 ¥87

 

b)TSUTAYA BOOK GARAGE福岡志免にて。→中古本5冊以上?購入で20%OFFセールをやっていた。

24・アレホ・カルペンティエル、牛島信明訳『失われた足跡』集英社文庫 ¥86

25・岡信子・作、エム・ナマエ・絵『絵童話1 ぽけぽけぽけっと』日本教文社 ¥86

26・三浦精子・作、入野忠芳・絵『原爆児童文学集1 ヤン一族の最後』汐文社 ¥86

27・早船ちよ・作、太田大八・絵『原爆児童文学集8 虹』汐文社 ¥86

28・渡辺清・著、藤本友一・画『戦艦武蔵のさいご』童心社 ¥86

29・ごんもりなつこ・作『おおきくなってね』福音館書店 ¥86

30・マルヤ・ハルコネン・再話、ペッカ・ヴオリ・絵、坂井玲子訳『巨人のはなし フィンランドのむかしばなし』福武書店 ¥86

31・杉浦和貴子・文、吉谷昭憲・絵『新日本動物植物えほん16 いしがけちょう日記』新日本出版社 ¥86

32・マリー・コールマン・文、フェオドール・ロジャンコフスキー・絵、みらいなな訳『みんななかよしりんらんろん』童話屋 ¥86

33・金田一春彦/岡田純也・監修、エム・ナマエ・イラストレーション『ぺんたくんとあそぼう8 ふしぎなふうせん』ブックローン出版 ¥172

34・冨田百秋・作『しおだまりのいきもの』福音館書店 ¥172

35・松葉口忠雄・原案、松葉口朝子・絵、加藤美智子・詩『りんごえんのうた』岩崎書店 ¥172

36・田島征三『やぎのしずか1 こやぎがやってきた』偕成社 ¥172

37・阪本一房・著、斎藤博之・絵『カモとはらきりじいさん』岩崎書店 ¥86

38・すずきゆりいか・文、ごんもりなつこ・絵『たんぽぽのたねとんだ』福音館書店 ¥345

39・長谷川摂子・文、英伸三・写真『どろんこ』福音館書店 ¥259

40・早乙女勝元・作、おのざわさんいち・絵『絵本 東京大空襲』理論社 ¥432

41・ことばあそびの会・文、金川禎子・絵『きっときってかってきて』さ・え・ら書房 ¥412

42・中嶋睦子・作、こうやすすむ・監修『みかん』福音館書店 ¥259

43・ダーロフ・イプカー・文と絵、光吉夏弥訳『よるのねこ』大日本図書 ¥412

44・スミコ・デイビス・作、植松佐知子訳『ピーターとねこ』文化出版局 ¥412

45・王矛/王敏・文、孫彬/張奇駒・絵、東龍男訳『三国志絵巻12 五丈原の秋風』岩崎書店 ¥617

46・田島征彦『祇園祭』童心社 ¥432

47・早乙女勝元、福田庄助・画『おかあちゃんごめんね』草土文化 ¥259

48・松谷みよ子・作、西山三郎・絵『鯉にょうぼう』岩崎書店 ¥432

49・なかえよしを・作、上野紀子・絵『うさぎのおとぎばなし』白泉社 ¥432

50・ロドニー・ペッペ・作/絵、小沢正訳『くつのなかのねずみ』フレーベル館 ¥412

51・横田稔・絵と文『はなののびるおうさま』福武書店 ¥259

52・横田稔・絵と文『しゃぼんだまのうらがえし はなののびるおうさまその2』福武書店 ¥412

53・ジョン・バーニンガム、秋野翔一郎訳『もうおふろからあがったら、シャーリー』童話館 ¥412

54・ハンス・バウマン、エリカ・ディーチュ=カペレ・絵、いぬいゆみこ訳『みんなみんなねむっている』評論社 ¥412

55・フェイス・マックルナティ・作、マーク・サイモント・絵、木島始・文『てのりノネズミ』さ・え・ら書房 ¥412

56・ヴァージニア・ハヴィランド・編、レイモンド・ブリッグズ・絵、小林忠夫訳『ブリッグズの世界名作童話集2 長ぐつをはいたねこ』篠崎書林 ¥617

57・リディア・バーディック・作、ジェイン・フリーマン・絵、みらいなな訳、小澤勲・監修『わたし大好き』童話屋 ¥172

58・百々佑利子・文、小沢良吉・絵『いっすんぼうし』ほるぷ出版 ¥172

59・三田村信行・作、佐々木マキ・絵『ネコカブリ小学校 校長先生そこなし森のひみつ』PHP研究所 ¥86

 

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書きかけ。

1:1972年にヤングコミックで発表されていた上村一夫の連作短編「おんな昆虫記」との関連が気になっていた手塚作品。調べてみると、この作品の発表は、1970~1971年のプレイコミックであった。そのことと本作の序文を踏まえると、カレル・チャペック「虫の生活」、手塚治虫「人間昆虫記」、上村一夫「おんな昆虫記」という順番で創作上の影響があったようだ。才能ある人と付き合い、その才能を吸収し、名声や仕事を奪い取って、柔らかく表現すれば強かに生きていく女性を主人公にした物語。彼女と深く関わった人物は必ず不幸に見舞われるのだが、同情心を持たないそれこそ昆虫のような彼女なので、ゾッとする。自分だけはそのような不幸に巻き込まれずに彼女と付き合えるという自信家たちが、それぞれに悉く不幸に陥る、彼らの顛末の描き分けが実にうまいと思う。

2:カバーイラストがなんと藤本蒼。このシリーズ是非集めたくなった。

3:限定復刊の文庫。

4:日本図書刊行会発行、近代文藝社発売のトレビ文庫。大和朝廷が自らのプロパガンダとして鬼を利用した、と考える著者の書。

5:関川夏央原作漫画集『名探偵に名前はいらない』東京三世社というのが出ているのだが、それとこの文庫本の違いは何だろう。とりあえず文庫を確保。

6:飛行場の自動車に特化した、ちょっとマニアックな自動車絵本。わかりやすい自動車が少ないので、実際の車両を見たり利用したことがない子どもには食いつきが悪いか。ただ、ある程度の年齢になると、用途の特殊さに面白さを感じるようになれるだろう。

7:単純化された絵が好きで、気に入っている増田純子氏の未読絵本。こどものとも0.1.2。雨の絵本で、縦開きになっている。最後に雨が土に降って、芽が出るところ、どうして芽が出るのか理解する(植物は水遣りすると育つ、といった程度の理解する)のは、2歳なりたてくらいでは難しいみたい。

8:

9:全12巻あるらしいマクドナルド童話全集の第1巻。いくつか読んでみて収集するかどうかを決めようと思う。

10:マクドナルド童話全集の第4巻。

11:

12:

13:

14:おとうさんと子どもが公園まで散歩して帰るまで。子どもがおとうさんの背丈を越そうとして、石の上に乗ったり、砂山の上に乗ったりして、大きくなったことをアピールしていく。公園に着いてから、ほんのわずかの滞在で「もう帰ろう」と言うおとうさんは、大して遊んであげていないいまいちなおとうさんだなと感じる。

15:ボール紙の絵本。やまのどうぶつむらにきりんがやってきたのだが、みんなと比べて図体が大きいので、みんなのこれまでやっていたような遊びが一緒にできないでいる。ある日山火事は発生して、きりんの背丈や足の長さがみんなの避難に役立つことになり、きりんはみんなと仲良くなる。キンダーメルヘンの名に恥じないようなメルヘンチックな絵。特に、舞茸みたいな木の形が良い。

16:以前からごきぶりとこおろぎは似ているな(触った感じも)、と思っていたが、どちらも子どものときに腹の境目に白い線が一本あるというところも同じだと知った。鳴くのはオスだけ。

17:1995年11月10日第12刷(1991年4月23日が初版第1刷)のものを入手。2001年に河出書房新社から再刊されたようだ。

18:楽隊になろうってんで集まった4匹(4頭というか)だけど、泥棒を窓の外から脅かす時には、リュート担当のロバも、太鼓担当の犬も、楽器でなく鳴き声で脅かす。最後に突然登場するおはなしおばさん、奥付のページで口から湯気がほかほか上っているの、ちょっと笑える。

19:

20:おむすびころりんかと思いきや、違う話だった。転がったにぎりめしを追っていくと、地蔵の前で止まっていたので地蔵に汚れていない部分をあげると、地蔵に堂の天井裏に隠れているように言われる。そのまま夜を迎えると酒盛りする鬼たちがきて、鶏の声色で彼らを騙して追い払うと、鬼の置いていったものをどっさりもらえたという話。そのあと悪い爺さんがその逆のことをして酷い目に遭う。ぐたぐた汗をかいたり、でかでかと地蔵の顔を踏みつけるなど、擬態語が面白い。はたしごとしていたおとこが、どうも地蔵様のお使いなのじゃないかと思う。

21:ライオンというだけで、他の動物から距離をおかれるという孤独。遂に誰にも見られないように泣いていたところに、あるしまうまがいて友達になる。しまうまが、ライオンを怖がりもせず、ちゃんと話を聞いてくれるので、ライオンがこらえきれなくなって「きいてくれよなあ、しまうま!」というシーン、読んでいるこちらもこらえきれなくなる。どうもしまうまも孤独に暮らしてきたようなところがあって、だからこその同じ境遇の者を思いやる気持ちがしっかりと養われているみたい。出会いはどこにころがっているものか、わからないけれども、諦めてはいけないなと思わせる。

22:うさぎなどのさまざまな動物をそれが好んで食べる食べものと一緒に紹介される絵本。後半、動物ではないものも混じってきたり、数の要素が入ってきたり、応用を利かせている。

23:全3巻の世界名作童話集。

24:行商用。

25:2話を収録。1話目は、虫歯で歯がなくなってほら穴みたいな口をした子どもが出てくる話。ポケットから出す宝物が、全部お菓子という、ちょっと教訓じみた話だった。2話目は、素敵なズボンに、おばあちゃんが持っていた古臭い布のポケットを縫い付けれてしまった子どもの話。親がどんなにかっこいいと言いきかす服でも、当の子ども本人にとっては全く説得力がない、そんなことが自分の体験としてもよくあったよなあと懐かしくなった。見返し(遊び紙)に、生長の家の師の講演会の記念のスタンプが押してあって、日本教文社という出版社が、その関係の出版社だということを知った。p.61にちらりと出てくる絵本が気になって調べてみたら、かんべじゅんきち・作、エム=ナマエ・絵『ざっくり、ぶうぶう、がたがた、ごろろ』偕成社、という、エム・ナマエ氏のデビュー作の絵本ということが分かった。巻末に、エム・ナマエ氏の本名が載っていて、エムは名の頭文字、ナマエは姓のカタカナ表記ということが分かって、ナマエという姓があるとは思ってもみなかったので、これにはびっくり。

26:戦時下の日本。ネズミのヤン一族は10匹いるのだが、人間が疎開でだんだん姿を消していくのに、異常を察知して、住み慣れた土地を離れて、住処を移す決断をする。旅の危険にさらされて一匹一匹数を減らしていき、後半になって原子爆弾の光を浴びてしまい、生き残った一族もほとんどばらばらに。そして後遺症による突然死などもあり、最後に何とか目的の緑の島へたどり着いた一族の末娘のツンも、土地のオスネズミと結婚するが、産んだ子ネズミは皆目が見えないのだった。それでも生きていく!生きていかなければならない!という凄まじい物語。ちなみにこの本を手に取ったのは、ヤンというあだ名の友人がいるから、というそんなことがきっかけ。

27:戦中世代を親にもつ小学生の子どもたちに、その親の一人が子ども時代に体験した、戦争と広島の原爆について、紙芝居にして読み聞かせるという体裁をとった物語。題は、原爆が落ちたあとに出たという虹から。戦争を止められなかった先生たち、大人たち、天皇もそう、全てを許すな。なぜ、無辜の者たち、弱い者たちが広島の原爆一つで二十万人も殺されなければならなかったのか。なぜを問い続け、目を背けず、無知を退け、真実を見極めよう。力強いメッセージのこもった作品となっている。

28:

29:2017年7月1日発行の、月刊予約絵本「こどものとも年少版」通巻484号のペラペラ版。きゅうり、なす、ピーマン、すいかの実が、小さい赤ちゃんの時から、大きく、さらに大きく育つまでを、それぞれ順番に写実的に描く。すいか畑には、(ごんもり作品においては)相変わらず藁が敷いてあって、農作業している人の存在が示されている。

30:フィンランドに伝わる巨人が出てくるお話を13話収録。木版画と思われる、ペッカ・ヴオリ(Pekka Vuori)氏の絵がダイナミックな迫力があり、愉快で不思議な民話を伝えるのにこれ以上なく思われるほどぴったり。邦訳された作品は、フィンランドでは、ここに山がある理由、ここに岩がある理由、ここに窪地がある理由などが、それぞれとある巨人の仕業だとして、あれこれ話が生まれているという。文学が国の独立のモチベーションになったという解説も勉強になった。

31:紀伊半島新宮市の中学二年生の先生と生徒たちによる、いしがけちょうの観察日記を元に制作された絵本。さなぎの殻を脱いで出てくるときに、一緒に出る2滴の赤い雫とは、何だろう。

32:シガルーという少年が、山のあらゆるものから愛されている様子を描いたお話。お話が始まって2枚目の、秋の山のような絵が特に好み。

33:

34:しおだまりは、みずたまりの潮汐版で、干潮時にできる海水溜まりのことであるということが、まず袖の図によって明快に示される。観察者として描かれている男の子の視点や、もっと客観的な視点を、画面で行き来しながら、しおだまりやその周辺の生き物の様子や観察方法が順に説明される。

35:りんごえんで生まれ、育ち、結婚して、今でもりんごえんで働いている女性の主観による長編詩。温和なメルヘンチックな絵。りんごは寒い土地で育つイメージだが、とても温かな絵本に仕上がっている。

36:うるさいやぎなのでしずかという名前をつけられたやぎがお母さんになるまでのシリーズ絵本。この1作目では、子やぎとしてやってきたこと、子やぎ時代の1エピソードを描いてある。ちゃぶ台の上に上がって、糞を放るのには笑ってしまった。未だに、うんこネタが好きなのだが、これは大きな声では言えない。

37:絵本ノンフィクション6。今の吹田辺りにあった池を舞台に起こった実話だそう。1880年にドイツの皇孫がお忍びでカモ撃ち猟にきていたのを、池での数少ないカモ猟の許可を得ていた井口じいさんが、けしからんとて何も知らず投げ飛ばしたという話。話題が大きくなりドイツとの関係悪化を恐れた大阪府知事が、井口氏にハラキリの演技をさせて、ことを丸く収めたという話。

38:ペラペラ版を所有しているのだが、特製版が欲しくて探していたところ、ようやく見つけたのだが、残念なことに19ページと20ページの綴じが外れかかっており、もう少し状態の良い別の特製版をまた探したい。

39:知人が持っているのを見て欲しくなり探していた本。どろんこ保育で有名?らしい、とある保育園が舞台の写真絵本。ほんとにどろんこになって遊んでいて、園児みんなの感覚がフィーバーしている感じがびしばし伝わってくる。

40:"東京大空襲を油絵に描きつづける執念の人"である、おのざわさんいち氏の絵の絵本。子どもをおぶった母親の話のどれもが痛ましい。火の手を必死に逃れている間に、背中の子どもが、おぶいひもから落ちていたとか、川の水に浸かっている間に知らず溺れていたとか、火傷で亡くなっているのだが道ゆく人はそれを言えずによく寝ていますよと声をかけられたりとか。出てくる男性は、子どもか老人か、大量の焼死体を埋める成人男性かしかいない。

41:ことばあそびえほん。ことばあそびの会は「1977年、谷川俊太郎川崎洋、郡山半次郎、波瀬満子、寺田晃他、により発足」した会だそう。題名にも一例挙がっているけれど、各見開きごとにことばあそび(舌もじりという古風な言い方があるのだそう)が載っていて、どれも練られていて感心しつつ面白く読める。と同時に、貼り絵による絵(ことばあそびの文字のところも貼り絵)が、圧倒的に素晴らしく、また可愛らしい。少々紙の重なりが分かるような立体感を残して印刷されているので、そこもまた感じどころ。

42:1998年1月1日発行の月刊予約・科学絵本「かがくのとも」通巻346号のペラペラ版。2004年と2016年に特製版が出ているみたい。みかんの実の構造や、花や実の時期、みかんの実を使った工作など。寒い夜に、お風呂場でみかんを食べて、皮をぽいぽいお湯に捨てる、というのは面白い。最後のみかんの仲間の紹介では、質感の描き分けがうまいなあと思った。

43:傑作ねこの絵本全5巻のうちの第1巻(明確にナンバリングされていないのだが、全5巻のISBNを調べると最も若い番号であるので第1巻と判断した)。確かに傑作で、人の目と猫の目の対比をわかりやすく教えてくれる。よるのねこを観察する人の目では、実際にねこが猫目によってどれほど物が見えているかがほとんど黒塗りの世界となって分からないけれども、猫の目には実はこんなにも鮮やかに夜の世界が見えている。見えている分、ねこにはあれこれやることもあり、忙しく、冒険にも満ちていて、だから日中に人からねぼすけに見られてもしかたないのだ、と理解できるまでの絵本になっている。そのことを理解することは、作者ほどの想像力の持ち主ならいざしらず、この絵本を読まない人には、なかなかできないことだろう。

44:友だちのねこと、カシの木の根っこのに囲まれた地下の家で暮らす、やや人見知りな男の子が主人公。ねこが男の子に出会いの機会を設けようとパーティを開くと、男の子は、そのお客さんたちのなかにいた一人の旅芸人一家の娘であるある女の子と仲良くなる。後日会いたい気持ちから初めて一人で町まで行き、会いに行って、その女の子の一家と一緒に暮らすことになる。ねこも無事に合流する。全体に平和な話で、話の筋よりは、部屋のなかにたくさん書き込まれている物のいちいちを眺めるのが楽しい絵本。

45:収集中の絵本。これで全12巻揃った。

46:日本のお祭り絵本シリーズのうちの1冊。作者署名と"だいすけくん"との宛名、それから"s58.10.24村中さんに頂く"のメモ書きがある。余所者には宵山の人出と夜店ばかりが思い出されるが、祇園祭の初めから終いまでをざっと学べる型絵染絵本。作者はこの型染を、稲垣稔次郎(解説に「ねんじろう」とのルビがあるが、Webで調べると「としじろう」が正しいようだ)に習ったそうだ。鉾建(ほこたて)のシーンで、それまで横画面だったものが、いきなり縦の画面になる。おお建ったかあ、と迫力がある。それ以降も、巡行のシーンなど、画面の縦横を都度活かして、もともとそこそこ大きい判型の本だけども、可能な限り迫力を出すために向きをよく選んで作ってある。ほとんどの男衆の顔が真っ黒染になっていて、夏の暑さと精悍さが伝わってくるようだ。逆に、女性や子どもは、白い顔が多い。

47:愛と平和の記録シリーズの第1巻。大阪は堺市の空襲の話。出征した夫の帰る場所を守るため、おかあちゃん疎開して家を離れることができない。東日本の震災で、津波に家族をさらわれた人たちも、似たような思いで土地を離れることができないでいるかたがいるのかもしれないと連想した。家を離れられないおかあちゃんは、さらに栄養失調で思うように動けなくなってしまったこともあって、結局家の中に残ったまま空襲で焼け死んでしまうが、その少し前、娘の絹ちゃんと息子とミチ坊は突き飛ばすように戸外においやって内側から鍵をかけてしまう。行き着いてしまった極限の状況下で、夫のためと子どもらのため、おかあちゃんには一体これ以上の何かができただろうか。未来を生きる我々は、そのような状況を絶対に回避するため、予防に真に知恵を働かせなければならない。

48:鶴の恩返しに似たお話。女性に姿を変えた鯉が和平(わっぺい)の家に来て、嫁となる。おゆきという名のその嫁のつくる味噌汁が美味いのだが、それは卵をしぼったり我が身の出汁を取っていたからで、それを禁じられていたのに和平は見てしまい、おゆきは池に戻ってしまう。その晩、近所のならず者たちが、池に毒を流し魚を根こそぎに獲りにきたので、おゆきは化けて出て彼らを退治するが、自らもその同じ仲間の魚たちもみんな毒で殺されてしまう……という何とも悲しい話。あとがきによると、"新潟水俣病が発病する前、大量の魚が突っ立って苦しみあがきつつ死んでいったという"、そのシーンに想いを馳せた作者が、この民話を現代に問うたというわけだ。何とこの作品が西山三郎氏の初の絵本作品なのだそう。ダイナミックでありつつ憂愁を帯びた切り絵。背の鯉女房の絵は、アマビエみたいにも見える。

49:えほんらんどというシリーズの1巻目。以降の巻はどんな作家の作品なのだろう。

50:これは傑作絵本。ぼろぼろの片靴の中に10匹のねずみの家族が住んでいるのだが、悪天候に弱かったり、猫にいたずらされるので、みんなで新しい家を作ることにする。それがどうしてだか、今まで住んでいた靴の中に作ることにする。設計図を出し合うページは、10匹それぞれ案を出していて、じっくり見ないわけにいかないような楽しいページ。読者も、自分の案をその辺の紙切れなんかに描き付けてみたくなるというもの。建設途中の描写も丁寧で、10匹のあれこれの吹き出しの中のセリフを、絶対に取りこぼさず見つけて読んでやるぞ、というような気にさせてくれる。とにかく眼で食らいつきたくなる画面だ。最後のページが、また驚きで、作者が絵本の中のモデルとしてリアルに製作した「くつのなかのいえ」の写真が載っているのである。

51:はなをいじる癖のある王さま。いつのまにか鼻が伸びるようになってしまった。その鼻を使って、ある晩、塔の上からこっそり降りて(ラプンツェルのパロディだ)、お花畑でちょうちょうと遊ぶ。カラフルで幻想的な遊戯は、夢かうつつか。まあおそらく気を失っていた時に見た夢だろう。ぱっと表紙を見た感じで面白そうだ、と思ったが、期待が大き過ぎたのか、物語や絵はそれほど好みではなかった。

52:

53:おふろでのふるまいがなっていないシャーリーをお母さんが諌めるセリフがえんえんと続く絵本。ただ、シャーリーは、想像の世界に行っているのか、絵本の中の本当の旅に出ているのか、風呂の排水孔から抜け出し、中世?の世界で王様やその侍従たちと遊んで、風呂上がりのタイミングで帰ってくる。左右の絵のギャップを楽しむ。

54:さまざまな動物や魚などの生き物たちが、どのように眠っているかを次々に説明していく絵本。それぞれの生き物が若干擬人化されたような表情や態度を見せているのが遊び心があって面白い。細かい筆遣いがもんわりとした濃密な絵を実現しているが、くどさがなく温かみにあふれている。

55:目も開いていないほど生まれたての野ネズミが納屋の中で一匹だけ逃げ遅れていたのを、少年が飼う。少年の独白と、野ネズミの独白とが、入れ替わりつつ記述されていて、両者は言葉を交わすことはできなかったけれど、読者にはどのように心の交流があったり、すれ違いがあったりしたのか、順に追えるようになっている。抑えられた色と、たっぷりした余白で、自然と少年と野ネズミのことに思いを馳せることを誘わされる、しみじみと良い絵本。

56:23を買ったその日に同シリーズの第2巻が見つかるとは。

57:

58:姫の相手をしていた一寸法師が、姫の供をして参った清水寺の帰りに、鬼に絡まれる。あの辺りにも鬼がいたのかな。鬼退治の様子は意外とあっさり。打出の小槌で大きくなった一寸法師の顔は実に凛々しいのだが、その直後の婚礼のページでは、眉が下がっており、あの凛々しさはどこいったのという感じ。

59:巻末にネコカブリ小学校シリーズのリストがあるので、未所有or所有のリストを作っておいた。