yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

今日買った本

■今日買った本。計8979円。

 

a)閑々堂にて。→店舗見つけられず。

 

b)森岡書店銀座店にて。→定休日にて入店できず。

 

c)古本観覧舎にて。→GoogleMapのピン位置ミスで辿り着けず。

 

d)ブックオフ荻窪駅北口店にて。→初入店。

1・安江リエ・文、いまきみち・絵『ちびだこたこらす』福音館書店 ¥289

 

e)バサラブックスにて。→見つからず。後日調べで年末年始休み中だった。

 

f)古本よみた屋にて。→初入店。

2,3・e.o.プラウエン・作、上田真而子訳『おとうさんとぼく 1,2』岩波少年文庫 ¥440

4・アンドレ・フランソワ・作、巖谷國士訳『わにのなみだ』ほるぷ出版 ¥550

5・中谷宇吉郎『極北の氷の下の町』暮しの手帖社 ¥330コワレ

6・レオポルド・ショヴォー・作、出口裕弘訳『ショヴォー氏とルノー君のお話集1 年をとったワニの話 他3篇』福音館書店 ¥880

7・レオポルド・ショヴォー・作、出口裕弘訳『ショヴォー氏とルノー君のお話集2 子どもを食べる大きな木の話 他4篇』福音館書店 ¥880

8・レオポルド・ショヴォー・作、出口裕弘訳『ショヴォー氏とルノー君のお話集5 ふたりはいい勝負』福音館書店 ¥550

9・中村博・文、久米宏一・絵『ばけもんじる』岩崎書店 ¥550

10・儀間比呂志・文/絵『りゅうとにわとり』ひかりのくに ¥110

11・木乃美光・編、正田壤・画『まっかっかなむすめがまどからのぞいている』福音館書店 ¥220

12・Gerald McDermott『THE MAGIC TREE a tale from the Congo』Kestrel Books ¥550

13・デニス・ホイートリー・著、ジョー・リンクス・原案、土屋正雄訳『マイアミ殺人事件』中央公論社 ¥1100

14・松岡達堪・原案/絵、鈴木良武・構成/文『黒ひげ先生の世界探険 アフリカにグレヌクをおって』サンマーク出版 ¥1650

15・György Lehoczky『The Miracle of the Pear Tree』BLACKIE ¥440

16・樹村みのり『樹村みのり初期短編集 雨』朝日ソノラマ ¥440

17・ジャック・ティボー、ジャン-ピエール・ドリアン編、西條卓夫/石川登志夫訳『ヴァイオリンは語る』新潮社 ¥110

 

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 帰省中に1日フリーの日ができた。ただ銀座に1件だけ用事があったので、その界隈の古本屋をざっと巡ってみようと思って、a),b),c)を巡ることにした。a)は現地で店舗位置も分からず。b)は、定休日だったが、少なくともガラス越しに店内の様子が伺えた。c)は、GoogleMap上で古本屋を検索して銀座に立ったピン位置を目指したものだが、なんとピン位置のミスで、本当は中野にある店舗だったという。地図上の検索はあまり当てにならないなと思ったできごとだった。それで今日は古本運はないなと諦めて、飲食に興じようと、まず新宿のピースへ。世田谷ピンポンズにこの店にちなんだ曲があると知って行ったもの。ホットケーキとコーヒーを頼んだ。後ろの席で、どこかのテレビ局の人が、向かい合った若手俳優に、今回は撮影班のドライバーとしての日雇業務の打ち合わせをしていた。若い女の子2人客が、ずかずかと奥の席に入っていって、ものの2~3分で退店していったのも妙に気になった。何があったのだろう。それからビア&カフェBERGに行って、『椅子』という雑誌を読みながらおやつどきのビールを楽しんだ。このまま帰ろうかとも思ったが、やっぱり未踏の古本屋に少しでも行っておきたい欲がむくむくと湧いてきて、吉祥寺のf)に行く決心をした。向かう途中の乗り換えついでにd)へ寄り、さっと店内をチェックして何とか1冊買った。e)は、チェックしていた店舗位置に向かうも、見つからず。今これを書きながら調べたところ、年末年始休み中だったようだ。で、f)にようやく辿り着いた。思った以上に絵本と児童書の品揃えが良く、若干支出をセーブしつつも結構な収穫で大満足。今年の最終営業日だったようだ。2時間近く滞在して、深夜に帰宅した。

 1:刺繍や布への着色で作った絵本。海の中で楽しくうたいながらあちこちを泳いで回るたこらすは、人でいう未就学児くらいの年齢みたい。登場する海の生きものぞれぞれのキャラクター名が、くすっとしてしまうような、ちょっとひねってあったりするところ、考えたなあ、よく思いついたなあと思わせて好き。シリーズ化して、もう2作品あるようだ。それぞれ特製版が出たら入手したいところ。

 2,3:御殿場でのヒトハコ古本市でどなただったかに勧められてずっと読んでみたかった作品。e.o.は本名のエーリヒ・オーザーのこと。プラウエンは、著者の出身地。政情のために、本名を隠して発表せざるを得なかったペンネーム。1巻ではp.25「反省」p.145「がまんにもほどがある」、2巻ではp.88「おとうさんの本心」が良いなと思った。おとうさんの我が子を思う心が結晶している。1巻の巻末の「e.o.プラウエンについて」を読むと、ヒトラーなどが台頭した不穏な時代にあって、強く生き抜いた著者の人物にも興味がもたれる。

 4:今調べて、うそ泣きのことをcrocodile tearすなわち「わにのなみだ」と言うそうだ。その前提知識がない状態でこの絵本を読んだので、「長い長い前振り込みでの「わにのなみだ」」こそが「わにのなみだ」なんだと思っていた。横長の絵本で窓のある箱入り。オリジナルは1967年にフランスで出版されていて、一方で『ワニの泪』という岡田睦という慶應大学の仏文科卒のかたの著作が、河出書房新社から1976年に出ている。このほるぷ出版版の第1刷は1979年3月10日。だから、岡田睦氏が、仏語版をどこかで読んでそれを作品に反映させているのじゃないかなあと何だか気になっている。いつか調べてみるつもり。

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 9:昔から伝わる話かと思いきや、作者の創作らしく(新・創作絵本シリーズのうちの1冊)、いかにも昔話らしく、よくできているなあと思う。夜中に一人でトイレに行けない旦那に困った妻が、ばけもんみたいな大きな夕顔をトイレの前にぶら下げておいて、夜中トイレに行こうとした旦那をびっくりさせた。翌朝、その夕顔の汁物を拵えて「ばけもんじる」と称して旦那に食わせたら、ばけもんの美味しさに目を見開かされた旦那は、ばけもんがすっかり怖くなくなって、長者のところに出るというばけもんを恐れもせずにやっつけた、という話。まぬけな感じでおそろいの夫婦がいかにも仲良さそう。

 10:色合いも輪郭もくっきりはっきりの儀間さんの版画絵本。沖縄の民話。ムカデが耳の中に入って痛がっている龍を診たお医者さんが、鶏にムカデ退治をさせて成功する。それからというもの、龍が腹をたてると、荒天を呼ぶのだが、命の恩人のにわとりの前ではすーっと静かになるのだそうで、やんばる船の帆先に鶏を模した小旗がつけられるようになったという話。鶏については、その鳴き声が厄払い・悪魔払い効果があるという昔話をときどき読むことがあるのだが、鳴き声でない形で、厄払い的な効果ある話は、初めて読んだかも。それにしても、この龍は、ムカデ退治の実務担当をした鶏には恩義を感じ嵐を当てないようにする割には、お医者さん一般にはそのような配慮をしないようであるところは面白い。ちなみに、鶏とムカデの戦いのページにあるムカデの足の数を数えてみたけれど、130本以上あった。

 11:1973年11月1日発行、月刊予約絵本《こどものとも》213号のペラペラ版。記名有。smokebooksという古書店のwebショップの写真を見ると、ハードカバーにしかないはずの溝があるようなので、特製版があるようだが……いろいろ調べたけど確証は得られず。全部で17あるなぞなぞえほん。正田壌氏の絵が、ペン?だの絵の具だのを使ってあって、絵の具のゴシゴシこすりつけたりこすりとったりの、視覚的にも触感的にも異なるものが同居した絵で、どこか遠くの異国の不思議な絵のよう。表紙タイトルの書体もなんだか怖いような迫力あって、ひと目見たときのインパクトが強烈。

 12:ある兄弟がいて、一方だけ母に愛され、もう一方は家出した。家出した方は、森で魔法の木を見つけ、魔法の木に捕らえられていた精?と結婚し、魔法で富を絵、幸せに暮らした。そこに母親と兄弟を招待したところ、成り上がった訳を尋ねられ、それを秘密にしておかなければならないのに話してしまって、全てを失ってしまうという話。愛してくれない者だったことも忘れて、彼らに仕えてしまうという、「血の繋がり」というもののの恐ろしさを説いている。元々はアニメーション作品だったものを、絵本化したものだそうだ。邦訳はされていない。

 13:

 14:

 15:日本で木島始氏が詩をつけて『木のうた』として出ている本だけど、題名が異なるし、本文も日本版に比べて長文になっているので、両者の差異が気になったのと、もともとこの絵本のレホツキー氏の絵が抜群に好きなのとで、購入。結果、絵は同じ。本文は(レホツキーの原案ベースでMichaela Bachという方が英語版テキストを書いたということだ)、全体を貫くニュアンスも変わっていて、どちらも良いなと思う。英語版は、キリスト色がちょっと出ている。繰り返す季節、同じものを生み出す鳥や動物、植物など自然の不思議さを謳い、最後にそれらはGodに由来するという締め方。

 16:

 17:黄色い本のジャック・チボーと関係があるのか気になり購入。ジャック・ティボーは、Jacques Thibaudで、ジャック・チボーは、Jacques Thibault。ということで、ほんのちょっと綴りが違った。カバーデザインだが、一時間文庫=One Hour Library、略してOHLの3文字が、表紙から裏表紙にかけて書いてある。ティボー氏、小学生?の頃、危篤の書き取りの先生のそばで、求められて当時弾けもしないはずのベートーヴェンの「へ長調ロマンス」を夢中でヴァイオリン演奏していたら、気づいたときには先生が息絶えていたなど。劇的な挿話がまず3つくらい続いて、久しぶりに面白い読書となった。2020/1/26読了。編者が入っているので、少し盛っているところもあるのじゃないかなんて思いながらも、とにかく弾むように読める。チャップリンポール・ヴェルレーヌとの逸話も飛び出したことで、同時代の雰囲気を感じやすくなったような気がした。人間以外の生き物が、音楽に官能するかの章で、蜘蛛の話が出てきたときに、突然「かっこ注」で訳者の、蜘蛛のについての同様の経験談が登場し、思わず我が目を疑った。