2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧
【眼球譚 〔初稿〕】G・バタイユ 河出文庫 ★★★ 2006.10.17 球体幻想を僅かに知った。そして、球体――卵(卵黄)、眼球、睾丸など――を陰の中へ入れるというイメージ(映像)……。とりわけ眼球の場合は、グロテスクだ。こんな想像はしたことがなかったし、自分で…
【アムステルダム】イアン・マキューアン 小山太一訳 新潮文庫 ★★★ 2006.10.15 1998年ブッカー賞受賞作 久しぶりにシリアスな小説を読んだ気がしたが、友人に言わせると、この作品はマキューアンにしては、まだまだ厳しさが抑えてあるとのこと。 クライブの…
【老人のための残酷童話】倉橋由美子 講談社文庫 ★★★ 2006.9.30 老人には酷な童話ばかり。でもそう思えるのは、まだまだ若い証拠で、実際に老人の身になって読んでみれば、このブラックユーモアも、ブラックではなく当然の感覚となり、本書に登場する数々の…
【Zの悲劇】エラリー・クイーン 鮎川信夫訳 創元推理文庫 ★★★ 2006.10.1 悲劇四部作 クライマックスになると加速するのが、この悲劇連作のようだ。解決の兆しもない中盤までは、冗長に思えるほどにじりじりとじらされたが、20章から最後までは一気読み。論理…