yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

八雲が殺した

【八雲が殺した】赤江瀑 文春文庫 ★★★★ 2005.4.29 第12回泉鏡花文学賞受賞作 絶版 赤江瀑初読み。司修氏によるカバー絵とタイトル・著者名の書体がポップなので、ほんわかした作品集だと思ったら大間違い。寺社の密事、刀、手裏剣、七宝、怪談、和歌、三味線…

【雁】森鷗外 岩波文庫 ★★★★ 2005.4.27 人と人の間にはいつもドラマがあるのだなと考えさせられる。出会いには、出会うだけの偶然や必然のドラマがある、とは誰もが思うところだろう。一方で、出会わないということにさえも、それだけの偶然や必然のドラマが…

盤上の敵

【盤上の敵】北村薫 講談社文庫 ★★★★ 2005.4.25 心的状態が我ながら良く思える日々が続く。今ならどんなに容赦のない物語にでも耐えられるだろうと思い、やっと手を出せた一冊。 絶対悪の存在。不条理な暴力。対する正義。それだに傍から見れば絶対善ではな…

毒入りチョコレート事件

【毒入りチョコレート事件】アントニイ・バークリー 高橋泰邦訳 創元推理文庫 ★★★ 2005.4.21 一つの事件に対して、六人が六通り(正確には七通りか)の解釈を開陳するという離れ業で有名なミステリ。読み物としての評価は、どうしても無理な展開を強いられて…

時の過ぎゆくままに

【時の過ぎゆくままに】小泉喜美子 講談社文庫 ★★★★★ 2005.4.13 絶版 かつて彼女の眼前には、どう進むも自由で、まっさらで広大なエリアが広がっていた。しかし、今になって振り返ってみると、彼女の辿ってきたのはたった一本のラインでしかない。途切れそう…

鬼流殺生祭

【鬼流殺生祭】貫井徳郎 講談社文庫 ★★★★ 2005.4.12 明詞シリーズ 警察や公安を主人公としない、しかも時代物という貫井作品だったので、新しさを感じたが、時代物ならではの雰囲気の造り込みが特に会話文に於いて弱いように思えた。もう少し背筋の真っ直ぐ…

ネバーランド

【ネバーランド】恩田陸 集英社文庫 ★★★ 2005.4.5 小説とは言え、皆色々抱え込み過ぎだと思いながら読む。クライマックスまでに皆の秘密が有機的に結びついて劇的な絵解きが起こるのかと思ったら、意外にそれぞれで完結、独立した秘密であり、それぞれ一応の…

いとしい

【いとしい】川上弘美 幻冬社文庫 ★★★★ 2005.4.2 今年のはもう過ぎてしまったがエイプリルフールからの連想で、嘘ばかり書く(これは褒め言葉)氏の作品を読んでみた。長篇は初読み。 解説から拾った言葉だけれど、本のなかの生き物を造形する巧みさに心底惚…

【鴉】麻耶雄嵩 幻冬社文庫 ★★★ 2005.4.2 「バナールな現象」、「ペニス」と鴉に彩られる作品が続いたので、好機かと思い読んでみた一冊。 この村は何処にあるのだろう。筑前煮、博多人形という単語が出てくるので、九州北部辺りに設定してあるのだろうか。…