yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

屍鬼(五)

【屍鬼(五)】小野不由美 新潮文庫 ★★★★ 2007.3.31 屍鬼は、人を経由しないと屍鬼になれず(そのために人と同じ記号を共有してしまうこともあって)、人間性が残る点で徹底的な生物(?)になれないのが弱点か。そこに残る人間性と、その人間性に触れた人(…

屍鬼(四)

【屍鬼(四)】小野不由美 新潮文庫 ★★★ 2007.3.29 長く描かれる人物に何かしら情が移るのはあることだが、この長い作品にはそういう人物が何人も出てきて、しかもそういう者ほど、過酷な扱いを受け、苦渋の選択を強いられたりする。 最終巻を前に少し静かな…

モロッコ革の本

【モロッコ革の本】栃折久美子 集英社文庫 ★★★★★ 2007.3.21 絶版 ルリユールを学びに渡欧したときの留学記。著者はブックデザイナーとして知られるが、書く方も素晴らしい。“も”というのは、正確ではなく、結局氏は、ブックデザインと物書きの両方を主として…

屍鬼(三)

【屍鬼(三)】小野不由美 新潮文庫 ★★★★ 2007.3.24 やはり転回があった。今まで書かれなかったものが、読者の目と、幾人かの登場人物の目にさらされた。死者の連続で、閉塞に突き進んでいた世界が、また同じくらい、あるいはそれ以上になる謎を以って、帰っ…

屍鬼(二)

【屍鬼(二)】小野不由美 新潮文庫 ★★★★ 2007.3.17 大きくてゆっくりとした変化を書くには、まずは変化前の全体をしっかりと書き上げなければならないし、変化自体も決して急ぐことなく自制を以って、変化するところしないところ、次に変化するところしない…

チェスへの招待

【チェスへの招待】ジェローム・モフラ 成相恭二/小倉尚子訳 白水社文庫クセジュ ★★★ 2007.3.11 そんなことで好きだといえるのか分からないが、そういえば自分がチェスを好きだったな、と時々思い出すことがある。本書を見つけたときも、そういえば、と思い…

屍鬼(一)

【屍鬼(一)】小野不由美 新潮文庫 ★★★★ 2007.3.11 さまざまな人が現れ、描かれ、早速のように、この巻の後半から死に塗れていく。まるで殺されるために配された駒のようで、読み進むのが大変恐ろしい内容。このところ晴れない私の住む土地。現実も小説も暗…

大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル

【大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル】森博嗣 中公新書ラクレ ★★ 2007.3.11 著者の日記やエッセイをあちこちで読んでいたために、新しい話ばかりとはいかなかった。 「夢」からはじめよう、の項と、アカデミズムとは何なのでしょう?…

ポオ小説全集2

【ポオ小説全集2】エドガー・アラン・ポオ 大西尹明他訳 創元推理文庫 ★★★★ 2007.2.17 冒険譚の長中の二篇がメイン。どちらも終わりが半端で物足りない感じがしたが、仕方ないかなとも思う。冒険が光るのはその只中であるから(ここに沢木耕太郎「深夜特急…