yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

しゃべれども しゃべれども

【しゃべれども しゃべれども】佐藤多佳子 新潮文庫 ★★★★ 2005.6.29 412頁5~6行目にかけての「新しいノート~気持ちになった」という部分がなかったら星5つかな。信頼できるある書評サイトの管理人のお薦めの本だったので読んでみたら、見事に当たり。お薦…

ヘルダーリン詩集

【ヘルダーリン詩集】川村二郎訳 岩波文庫 ★★★ 2005.6.25 基本的に自然を詠むところから始まる。が、詠む対象を見える姿そのままに、というだけでは決して留まらず、その延長を空間的にも時間的(歴史的)にも縦横に補外させていく想像力の飛翔が素晴らしい…

退職刑事2

【退職刑事2】都筑道夫 創元推理文庫 ★★ 2005.6.23 二年振りに読むシリーズ2作目。 そもそもがマンネリズムだというこの安楽椅子探偵的なシリーズを、ストイックに持続しているが、そのスタイルも遂に「四十分間の女」で幾分か破られてしまう。しかし、面…

法月綸太郎の新冒険

【法月綸太郎の新冒険】法月綸太郎 講談社文庫 ★★★ 2005.6.17 一年振りに読む法月綸太郎。(私の感覚では)中篇集と言った感じで、適度にじっくりとくる読み応え。 作品内引用の更に引用になるが、推理小説は“理屈そのものを一つの虚構としてみる精神のスポ…

伊豆の踊り子・温泉宿 他四篇

【伊豆の踊り子・温泉宿 他四篇】川端康成 岩波文庫 ★★★ 2005.6.8 川端康成初読み。意外に落ち着きがなく、散文的でいまいち読み込ませてもらえない作品が多かった。作者20歳台の作品ばかりが収められているとのこと。それ故か。 最も有名な「伊豆の踊り子」…

平面いぬ。

【平面いぬ。】乙一 集英社文庫 ★★★★ 2005.6.5 「石ノ目」が断トツに良かった。テーマ的には一種のメドゥーサ譚であるが、使い古された感を感じさせない、演出の上手さが確かにある。石ノ目に背を向けながらの食事、石像の素材たる人間の表情を理想の形に近…

リュパンの告白

【リュパンの告白】モーリス・ルブラン 井上勇訳 創元推理文庫 ★★★★ 2005.6.3 アルセーヌ・リュパンシリーズ 相変わらず軽快。忍術に近い気の効いたトリックと、笹の葉切れのようにすらりとしたロマンスが、現れては立ち消え、現れては立ち消えする。マンガ…