yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2010-01-01から1年間の記事一覧

フレドリック・ブラウン傑作集

【フレドリック・ブラウン傑作集】フレドリック・ブラウン ロバート・ブロック編 星新一訳 サンリオSF文庫 ★★★★ 2010.3.26 絶版 「マイナス・ゼロ」の星新一の解説に、本書所収の「実験」が言及されていたので、探し求めた一冊。 中学生の頃に星新一を読み漁…

不合理ゆえに吾信ず

【不合理ゆえに吾信ず】埴谷雄高 現代思潮社 ★★★★ 2010.3.23 1961年版 絶版 「断定と同一瞬間に現われる反対意識の强さ」(p.111)。これは、このブログやこの前身のHPで記事を書く度に、しかしやはり初期の頃に多く感じてきたものだった。何か少しでも物を…

失はれる物語

【失はれる物語】乙一 角川文庫 ★★★★ 2010.3.19 切なさ目白押し、と言った感じ。切なさを発生させる装置は、特に限られた手段によるコミュニケーション、と言えそう。細かったり、脆かったり、一方通行だったり、間接的だったり、そういう伝達手段が陳列され…

悠悠おもちゃライフ

【悠悠おもちゃライフ The Leisurely Life with Toys and Models】森博嗣 講談社文庫 ★★★ 2010.3.16 おもちゃの収集なり、趣味の模型工作に関するエッセイ。HPでやっていた日記に書かれていた内容が重複するので、特別な新味は感じられなかった分、著者の哲…

六人の超音波科学者

【六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists】森博嗣 講談社文庫 ★★★ 2010.3.15 Vシリーズ やはり装画について触れておきたい。地の色は、アイボリーと解釈すると良いのだろう。 多くの登場人物の、多様な価値観がいたるところで示される。そこが面白い…

ポセイドン変幻

【ポセイドン変幻】赤江瀑 集英社文庫 ★★★★ 2010.2.11 今回の短篇集は特別強烈なエロスが匂う一冊だった。 京都、筑豊やなど、自分に少しばかり縁のある土地を舞台としたものが多かったので、その度に湧く作品への親しみを楽しんだが、よく考えてみると、単…

鏡のなかの鏡——迷宮

【鏡のなかの鏡——迷宮】ミヒャエル・エンデ 丘沢静也訳 岩波現代文庫 ★★★ 2010.2.28 キーワード過多。説明もされず、さらりと一度、二度と出てきては、また違うキーワードの波に呑まれて行く。全30章、キーワード群の部分集合が各章を紡いでいる。読者の脳中…

鳥——デュ・モーリア傑作集

【鳥——デュ・モーリア傑作集】ダフネ・デュ・モーリア 務台夏子訳 創元推理文庫 ★★★★ 2010.2.5 (観たことないのですが)ヒッチコック監督の映画化作品で有名な「鳥」が気になっていたことで目に留まり、入手してみた一冊。ところが、これが大当たりで、傑作…

富士

【富士】武田泰淳 中公文庫 ★★★★ 2010.1.15 年末年始の一冊として、重厚な作品でもと思い、本書を採った。ここまでくるのは長かった。というのは、武田百合子氏の「富士日記(上)(中)(下)」をとにかく読んでから本書を読もうと思っていたからで、「富士…