2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧
【高瀬川】平野啓一郎 講談社文庫 ★★★ 2007.5.24 それぞれ味の違う四篇。 「高瀬川」の地の文の硬質。このような文字を、そして文章を操っていたとしても、実際口から出てくる言葉は、幼い。大野氏自身はその辺り、どう折り合いをつけているのだろう。 「追…
【渦巻ける烏の群 他三篇】黒島伝治 岩波文庫 ★★★ 2007.5.20 豚群のユーモアは残念ながら解すことができなかった。やるせないその他の短篇が好み。 戦争を材にした後半二篇は、先般、ひめゆりの塔や平和の礎を訪ねたときのことを思い出させた。沖縄と長崎に…
【夢みるピーターの七つの冒険】イアン・マキューアン 真野泰訳 中公文庫 ★★★★ 2007.5.12 子どもの頃、時間が経つのが遅かったのは、不意の一瞬一瞬に夢をみていたからではないだろうか。はっと我に返って、また時間が回り出す。この繰り返しで、やっとのや…
【善人たちの夜】天藤真 創元推理文庫 ★★★★ 2007.4.26 天藤真推理小説全集10 著者最後の長篇とのことで、リーダビリティが極まっているのだろう、苦手なとぼけ系の推理小説にしては、かなりの好感触のうちに読み終えた。 最後、状況の打破のために皆が頭を悩…
【かもめのジョナサン】リチャード・バック 五木寛之訳 新潮文庫 ★★★ 2007.5.4 ある人が引越しをし、残されたダンボールいっぱいの本とCDから、何冊かの本と、何枚かのCDを頂戴した。それらの中の一冊。 三つのパートからなる。パートワンはそうでもないが、…