2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧
【スタア・バーへ、ようこそ】岸久 文春文庫PLUS ★★★ 2007.11.26 謙虚な成功者の話は耳に優しい(目か)。 食べ物屋に今でも憧れがあって、昔から定食屋なんかになって(名物はかつ丼が望ましい)タクシーの運転手に通われたりしてみたいもんだと思っていた…
【クレオパトラの夢】恩田陸 双葉文庫 ★★★★ 2007.11.21 神崎恵弥シリーズ(?) 最後にもってくる謎が、やや弱く感じられてしまうのはシリーズ前作同様。その原因というか、反面に引き立っているのは、何といっても中盤のまだどの方向にでも物語が転んでいき…
【ペルシャ猫の謎】有栖川有栖 講談社文庫 ★★★ 2007.11.17 国名シリーズ 何だかとても久しぶりに有栖川有栖作品を手に取る。職場に、本格や新本格という言葉を知っている上司がいたので、その影響は少しはあると思う。 「赤い帽子」。警察捜査の実際は知らな…
【ソラリスの陽のもとに】スタニスワフ・レム 飯田規和訳 ハヤカワ文庫 ★★★★ 2007.11.11 科学的な粗(あら)はどうしても目に付いてしまうけれど、書かれた時代のせいも一つにはあるし、それに大きな謎をぐいと見せられれば関係がなくなる。そして大きな謎は…
【パルタイ】倉橋由美子 新潮文庫 ★★★ 2007.11.8 氏の初期の小説には、私の他に、L、P、Q、Sなどが出てくるが、だいぶ素性がつかめてきた。Pは男性性、Lは女性性、Sは反体制、Qは……彼はよく分からない。「スミヤキストQの冒険」まで追ってみたらもう少し肉付…
【太郎坊 他三篇】幸田露伴 岩波文庫 ★★★★ 2007.11.4 表題の一篇が抜群に良かった。おだやかな暮らしの描写。一方で、どのように現在に至っていようと、人それぞれそこまでの過去がある。ここで開陳される主人の過去は、おそらく細君を気遣って敢えて言わず…
【続・垂里冴子のお見合いと推理】山口雅也 講談社文庫 ★★★★ 2007.10.31 おきらくなミステリで、前作同様、とにかくするする読める。毎度破談になるところにも、登場人物それぞれが自覚的で、ふとしたタイミングでその不思議なり原因を考察してくれている段…