yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

雪が降る

【雪が降る】藤原伊織 講談社文庫 ★★★★ 2005.7.29 「よもつひらさか往還」に雪が多く出てきたことから、雪繋がりで読んでみた。 出版年と生年から計算してみると、氏が50歳になるかならないか位の時期に書かれたもののようで、年の功か全篇を通して哀歓の浮…

よもつひらさか往還

【よもつひらさか往還】倉橋由美子 講談社文庫 ★★★ 2005.7.27 倉橋由美子初読み。幻想系の連作掌編集という風。漢詩や俳句、ギリシア神話などがしばしば引用され、またほぼ全ての掌編で官能的な場面をもつ大人のうそばなし。カクテルに詳しいとより楽しめる…

回想のシャーロック・ホームズ

【回想のシャーロック・ホームズ】コナン・ドイル 阿部知二訳 創元推理文庫 ★★★★ 2005.7.25 シャーロック・ホームズもの 御手洗潔ものの持つ雰囲気がどうもシャーロック・ホームズ譚のそれに似ているような気がして、それを確かめるべくインターバルを短めに…

御手洗潔の挨拶

【御手洗潔の挨拶】島田荘司 講談社文庫 ★★★★ 2005.7.21 御手洗潔シリーズ ぞんざいな素振りはあるけれど、どことなく理知的で落ち着きのある御手洗潔。あまり個性的ではないのに、私は妙に惹かれ、不思議に思っていたら、巻末の島田氏本人から御手洗潔の言…

ifの迷宮

【ifの迷宮】柄刀一 光文社文庫 ★★★★ 2005.7.18 遺伝子テクノロジーが今よりもう少し進んだ近未来を舞台にしたミステリ。遺伝子チェックによる差別発生の問題など、かなり酷だけれどももしかしたら近い未来その通りに行く着きそうな社会や、違和感を持ち続け…

遠い山なみの光

【遠い山なみの光】カズオ・イシグロ 小野寺健訳 ハヤカワepi文庫 ★★★★ 2005.7.9 王立文学協会賞(英)受賞作,「女たちの遠い夏」改題 口を開けばブッカー賞としか言わない知人の勝利なのか、ブッカー賞受賞者であるカズオ・イシグロのデビュー作を読んでみ…

緋色の研究

【緋色の研究】コナン・ドイル 阿部知二訳 創元推理文庫 ★★★★ 2005.7.6 シャーロック・ホームズもの シャーロック・ホームズのデビュー作。二部構成になっており、前半が事件調査から犯人逮捕まで。後半に犯人の犯罪に至る過程が描かれる。という構造のこと…

シーズ ザ デイ 下

【シーズ ザ デイ 下】鈴木光司 新潮文庫 ★★★★ 2005.7.4 長篇だけあって、後半の物語の集束感、ドラマの畳み掛けが気持ち良く、メッセージ性の強いエンディングも素直に心に沁みていった。「白い嵐」という映画と少し類似するところがあって、似たような壺を…

シーズ ザ デイ 上

【シーズ ザ デイ 上】鈴木光司 新潮文庫 ★★★ 2005.7.2 ヨットを軸にした話なのだが、上巻ではあまり大きな航海はない。頻出する昔の話や分析的過ぎる船越の思考など、まだまだ物語は燻(くすぶ)っている感じ。伏線の意味ももちろんあるだろうけれど、はや…