yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ワーニャおじさん

【ワーニャおじさん】チェーホフ 小野理子訳 岩波文庫 ★★★ 2005.9.27 こういう本は、(本の厚みが)薄いから、それに元々安いけれど新進古書店で100円か150円くらいで更に安くあったのを偶々見つけて、それも状態も良いものだったから買うわけで、タイトルや…

ことばの食卓

【ことばの食卓】武田百合子 ちくま文庫 ★★★★ 2005.9.26 武田百合子さん(さん付けは「日日雑記」解説の影響)の日記でないエッセイ。 扉の一篇「枇杷」は、まさに完成し切った一篇だと思う。あまりにも完成し切っているので、次の一篇への取り掛かり方が見…

猫は知っていた

【猫は知っていた】仁木悦子 講談社文庫 ★★★ 2005.9.23 第3回江戸川乱歩賞受賞作 仁木悦子初読み。ほんわかとぼけた田園風味の天藤真的な作風かと思いきや、思いの外“本格”ミステリだった。ところがトリック等の説明を読んでいてもいまいち脳内で再現されず…

転生

【転生】貫井徳郎 幻冬社文庫 ★★★★ 2005.9.20 心臓移植手術を軸に据えた、所謂社会派的な王道のミステリー(ミステリではない)だった。謎はへび玉のように予想も出来ない方向に伸び膨らむ。 手術を受けた主人公の体調の回復に合わせて、物語展開が実に丁寧…

悪魔が来りて笛を吹く

【悪魔が来りて笛を吹く】横溝正史 角川文庫 ★★★★ 2005.9.17 金田一耕助ファイルシリーズ 一つ前に読んだ「死体が冷めないうちに」を受けて、装丁家繋がりで読んだ。 このシリーズを読むのは四冊目だが、今回は当面の事件のルーツを探るべく、積極的に遠方に…

死体の冷めないうちに

【死体の冷めないうちに】芦辺拓 双葉文庫 ★★★ 2005.9.13 自治体警察局という組織が存在する現実に肉薄したパラレルワールドを舞台にした連作短篇ミステリ。山田正紀氏の「女囮捜査官」シリーズや貫井徳郎氏の「症候群」シリーズなどを髣髴とさせる。 選挙直…

幻談・観画談 他三篇

【幻談・観画談 他三篇】幸田露伴 岩波文庫 ★★★ 2005.9.10 幻談の名に惹かれて(前にもそんなことがあった)、幸田露伴初読み。 粋を解する人物とみた。釣り、骨董、魔法(まじない・神がかり的なもの)など、大変に詳しくしかも軽妙に書き綴る。蘊蓄を大い…

家族八景

【家族八景】筒井康隆 新潮文庫 ★★★★★ 2005.9.6 七瀬三部作の一 これは恐ろしい本だ。人の心が読める主人公七瀬が、住み込み使用人としてさまざまな家庭に仕えていくという連作短篇集なのだが、氏はどうしてそこまで想像できそして書けてしまうのか(そのた…

ファウスト 第ニ部

【ファウスト 第ニ部】ヨハーン・ヴォルフガング・ゲーテ 池内紀訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ ★★★★ 2005.9.4 第一部の舞台であったドイツを離れ、今度は時空を超えたギリシアを舞台に、神話の人物や化け物など何でもござれの派手派手しい劇となる。メフ…

ファウスト 第一部

【ファウスト 第一部】ヨハーン・ヴォルフガング・ゲーテ 池内紀訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ ★★★★ 2005.8.30 かつてBSで白黒無声映画の「Faust」(F.W.Murnau監督,1926,独,かなりお薦め)を観たことがあったが、それが概ねこの第一部のストーリィ…

無窓

【無窓】白井晟一 筑摩書房 ★★★★ 2005.9.1 絶版 確か栃折久美子氏が「製本工房から―装丁ノート」集英社文庫中で言及していた、装丁・造本に理解のある建築家、白井晟一のエッセイを読んでみた。希少本なので、不本意ながら図書館所蔵のものを居座って読み切…