yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

てのひらの闇

【てのひらの闇】藤原伊織 文春文庫 ★★★ 2005.8.27 長篇ハードボイルド。謎が次々に湧き出てくる前半は大変面白く読んだが、解決篇の後半は経済問題(金銭貸借、不動産、名義がなんだかんだ)などが事件の核に絡んでいることが分かって、それが苦手な分野だ…

ヰタ マキニカリスⅠ

【ヰタ マキニカリスⅠ】稲垣足穂 河出文庫 ★★★ 2005.8.23 絶版(∵旧装版) 異端・幻想の作家ということで気になっていた稲垣足穂を読んでみた。 一読、お月様や星、ほうきぼし、手品・魔術、神戸の街に大変なこだわりがあることが分かる。正直なところ重複し…

舞え舞え断崖

【舞え舞え断崖】赤江瀑 講談社文庫 ★★★★ 2005.8.16 絶版 日本語が流麗だなあと思う。特に表題作「舞え舞え断崖」とイントロの一篇「女形の橋」が良かった。どちらも日本語にしか不可能かと思われる、つまりここでは表音のかなと表意の漢字を上手く使っての…

つげ義春を旅する

【つげ義春を旅する】高野慎三 ちくま文庫 ★★★ 2005.8.12 写真が多いのでさっと読めた。つげ義春やその作品についてのピルグリメイジ。 こういう本はつげの作品に対する私的なイメージを、悪く言えば歪められるのであまり読みたくないが、それでもよりつげに…

ヴァージニア

【ヴァージニア】倉橋由美子 新潮文庫 ★★★★ 2005.8.9 理知的なうそばなし。先に読んだ「よもつひらさか往還」と比べると核となる部分にはどちらも理知をはっきりと感じるが、こちらは縁(へり)がすぱあと切れていて、どの話も確然と屹立している。勝手なイ…

舞姫・うたかたの記 他三篇

【舞姫・うたかたの記 他三篇】森鴎外 岩波文庫 ★★★★ 2005.8.7 森鴎外読み三冊目でそろそろ擬古文体(解説では雅文体と称されていたが、両者の差異は“われ一個人にとりては”不明)の、当初のこましゃくれたイメージの鴎外作品を選んだ。 ドイツ土産三部作は…

富士日記 (上)

【富士日記 (上)】武田百合子 中公文庫 ★★★★ 2005.8.2 第17回田村俊子賞受賞作 リズム&演歌を聴くようになって此の方の私は、生活について考え過ぎる嫌いがあると思う。このような人間が、日記文学でも読んで――大袈裟に言えば――生活の勘を少しでも取り戻…