2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧
【ペニス】津原泰水 双葉文庫 ★★★★ 2005.3.25 強烈強大な執(しゅう)を伴う妄想の世界。ぬめりある水を湛え、長い藻が幾重も絡みつく言海を掻き分け泳ぐような通読感。これが最初から最後まで続く畏怖。ゆたゆたと進むしかないので、感覚だけが暴走したよう…
【日日雑記】武田百合子 中公文庫 ★★★★ 2005.3.12 氏の遺作となった作品。日記もの。 ある日香典袋を今年一年分のつもりで十袋買う、などという晩年の暮らし。死を迎える覚悟というものは、親しくしていたものの死に触れ続けることで徐々に形成されていくも…
【死の内幕】天藤真 創元推理文庫 ★★ 2005.3.8 天藤真推理小説全集3 解説の通り、シチュエーション設定は大変面白いのだけど、登場人物が入り乱れ過ぎて後半筋が理解出来なくなった。ただそんな状態で迎えたクライマックスは、何だか妙に切迫感があって、寝…
【犬が星見た ロシア旅行】武田百合子 中公文庫 ★★★★ 2005.3.4 第31回読売文学賞受賞作 川上弘美が確か「あるようなないような」の中で武田氏の「富士日記」を推していたのをうけて、「富士日記」より先に新進古書店にて見つけた同氏のこの作品を読んでみる…