2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧
【ガリヴァー旅行記】スウィフト 平井正穂訳 岩波文庫 ★★★ 2009.3.30 旅行に携行する本を選ぶとき、私は旅行記を選ぶ傾向があるのだが、これもそのように読まれた一冊。 各所で註釈を引くと、スウィフトの時代の諷しまくりの様がよくよく分かってくる。それ…
【鬼会(おにえ)】赤江瀑 講談社文庫 ★★★★ 2009.3.29 7篇収録。いつもながらどの篇も端正な作りだが、本作は全篇特に質が高く感じ、何度も書くが赤江瀑作品にしばしば感じられる、毎度違うネタを扱っているのにどうしてこうも読み味が同じなのか、といった…
【マイナス・ゼロ】広瀬正 集英社文庫 ★★★★★ 2008.12.25 読み終えて3ヶ月も経ってしまった。 タイムマシン物のSF。新装版として現在出回っている和田誠の装幀が大層似つかわしい、飄々としたテンポで展開する軽快な小説。話が進むに連れ、内容がかなりこんが…
【吾輩は猫である】夏目漱石 岩波文庫 ★★★★★ 2008.12.17 漱石作品は中学・高校生の時に「坊っちゃん」を読んだきりであったが、森鴎外や奥泉光などの作品を読むうちに、そろそろ読み始める頃合のように思われてきて、まずはこれを手にした。 有名な冒頭文か…
【魔の山(上)】トーマス・マン 関泰祐・望月市恵訳 岩波文庫 ★★★★ 2009.2.2 見ればこれも1920年代の(1924年に出版された)作品であった。 厚い本。しかし、まえがきにあるように、(読了に)まさか7年もかかるまい、ということで、挑戦的な気持ちで読んで…
【朝鮮短篇小説選(上)】大村益夫・長璋吉・三枝壽勝編訳 岩波文庫 ★★★★ 2009.3.6 1920〜40年代に書かれた朝鮮小説。故郷の喪失(日本軍の侵略が原因)や貧困が、多く描かれる。下巻にみられた素朴な農村譚のような作品はなく、せめて筆は軽くあるものでも…