yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

グランド・ミステリー(下)

【グランド・ミステリー(下)】奥泉光 角川文庫 ★★★ 2007.8.10


 上巻読了後、1ヶ月以上経って下巻読了、しかも星評価も普通(3個分)ということで、当時相当苦労して読み終えたはず。

 また面白そうなところをかいつまんで読み返してみた。梶木と彦坂の会話、第六章四節。会話の内容も、個人主義の話で、またも奥泉氏得意の漱石は「吾輩は猫である」のさる部分を思い出させて、にやりとさせられるが、ここでは彦坂の質問力に目を見張るものがある。彦坂は主人の梶木の壇上には上がらず、または上がれないことを重々承知して、身の丈に合った地点、身分感覚の差異から意見する。だからといって、卑屈な感情はなくて、不思議や疑問を直視、把握して、その通り外に向けて表現しているだけ。質問力の基本はまずは率直さかも知れない。


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 上巻は7.7に読了、いずれリンク張ること。