yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

今日買った本

■今日買った本。計16100円。

 

a)第3回和田岬ヒトハコ古本市にて。

1・香山哲『ベルリンうわの空』イースト・プレス ¥1100 mask

2・香山哲『ベルリンうわの空 ウンターグルンド』イースト・プレス ¥1100 mask

3・和田靜香、小川淳也・取材協力『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』左右社 ¥1800 mask

4・シャーロット・ゾロトウ・文、ハンス・アウグスト・レイ・絵、中川健蔵訳『こうえんのいちにち』文化出版局 ¥500 本と。

5・中山禎輝『天王山の宝石箱 「アサヒビール大山崎山荘美術館」誕生物語』PHP研究所 ¥300 mazaki

6・士郎正宗『ブラックマジック』青心社 ¥300 kumaemon 

 

b)K文庫にて。

7・山本茂実『喜作新道 ある北アルプス哀史』角川文庫 ¥200/3

8・ロバート・フローマン・文、アーノルド・スピルカ・画、大平雅章訳『もっとはやいものは スピードのはなし』福音館書店 ¥10600/25

9・岩崎京子・作、竹山博・絵『こちどりのおやこ』福音館書店 ¥10600/25

10・ビアンキ・作、田中かな子訳、薮内正幸・絵『くちばし』福音館書店 ¥10600/25

11・『ヤングコミック 1980年3月12日号』少年画報社 ¥200

12・松谷みよ子、司修・絵『とまり木をください』筑摩書房 ¥10600/25

13・ボフミル・ジーハ・作、アドルフ・ボルン・絵、井出弘子訳『ビーテクだいかつやく』童心社 ¥10600/25

14・イレーナ=ユルギェレビチョーバ・作、ヤーヌシ=グラビアンスキー・絵、内田莉莎子訳『しあわせなちょうちょう』学習研究社 ¥10600/25

15・みねむらかつこ・作『じょせつしゃだいかつやく』福音館書店 ¥10600/25

16・ウクライナ民話、内田莉莎子・再話、太田大八・画『びんぼうこびと』福音館書店 ¥10600/25

17・トミー・デ・パオラ・作、福本友美子訳『トム』光村教育図書 ¥10600/25

18・ロイド・アリグザンダー・作、エバリン・ネス・絵、神宮輝夫訳『フルダー・フラムとまことのたてごと』評論社 ¥10600/25

19・小野かおる・作/絵『はるかぜとぷう』福音館書店 ¥10600/25

20・甲斐信枝・作『みのむし ちゃみのがのくらし』福音館書店 ¥10600/25

21・ジーン・ベンディック、マーシャ・レヴィン・共著、本田清雄・画、福富和子訳『数字のない数学』福音館書店 ¥10600/25

22・田島征彦・作『てんにのぼったなまず』福音館書店 ¥10600/25

23・吉野公章・作『かぜ』福音館書店 ¥10600/25

24・多田ヒロシ・文/絵『えんぴつとうだい』毎日新聞社 ¥200/3

25・いまきみち・作『しりとりしりとりふゆのまき』福音館書店 ¥10600/25

26・横田稔・絵と文『てまわしオルガン はなののびるおうさま』福武書店 ¥10600/25

27・矢玉四郎・作/絵『じろきちおおかみ』岩崎書店 ¥10600/25

28・矢崎芳則・作『おねえちゃん』草土文化 ¥200/3

29・神沢利子・文、赤羽末吉・絵『てんぐだいこ』偕成社 ¥10600/25

30・ミシェル・ゲイ・作、末松氷海子訳『まよなかの1ねんせい』文化出版局 ¥10600/25

31・来栖良夫・文、北島新平・絵『ラッパをふいたくま』ポプラ社 ¥10600/25

32・コルネイ・チュコフスキー・作、スヴィトザール・オストローフ・絵、田中潔訳『ごきぶり大王』偕成社 ¥10600/25

33・インドネシア民話、君島久子・再話、水四澄子・画『いねになったてんにょ』福音館書店 ¥10600/25

34・沖繩民話、川平朝申・再話、儀間比呂志・版画『ねむりむしじらぁ』福音館書店 ¥10600/25

35・今井鴻象・作、富永秀夫・絵『くじらのなみだ』フレーベル館 ¥10600/25

 

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 第3回目となるa)へ行くため、久しぶりに日帰りの遠出。会場は前回までの笠松商店街ではなく、ノエビアスタジアム脇の御崎公園に移ったが、そのわけは、初開催となる「みんなの青空図書館」という本を中心に据えた大掛かりなイベントの一企画としてa)が組み込まれたため。会場が公園なので、イベント開始時刻を待っている間、芝生の上で、朝食のパンを食べたり、帽子投げしたりして思いっきり遊べて楽しく過ごせた。イベント終了の16時前に会場を離脱し、b)へ。車で移動の途中、ある交差点で直進レーンにうまく車線変更できず、数キロ無駄に走行してしまった。このガソリン高騰の時世に痛いミス。b)へは、1年ぶりの入店になるか? 相変わらず欲しい本が山ほどあり、もっと棚を見る時間に余裕があれば、もっと買えたはずである。本の価格で、¥10600/22と記載しているものは、個別の価格が分からなくなったため、合計金額からわかる分を差っ引いた残りを冊数で割った表記にしたもの。

 1:つい先日、全3巻完結したこともあり、気になっていた漫画。新刊として購入。購入した方の自作の帯付。これを読むと、寛容な都市であるベルリンに、移民として住みたくなる。

 2:1と同様、新刊として購入。ウンターグルンドは、アンダーグラウンド、つまり地下のこと。地下スペースで主人公たちが、「清潔スペース」という名のシャワーとランドリーを無料で提供する場所を開設・運営するお話。貧困や移民など社会問題の勉強になり、また一市民としてどう問題解決に寄与できるか、という良い事例を知ることができた。志を同じくする仲間のゆるくも確かなやりとり。みんな大人だなあ。一方で、日本ではなかなかはっきりと意見を言い合える場や環境がないことを改めて思わせる。最終巻を早く読みたい。

 3:昨年、小川淳也氏を採り上げた映画『ぜ君は総理大臣になれないのか』を高松のイオンシネマに観に行った。そこ頃から気になっていた政治家の取材協力の下に書かれた本ということで、是非読んでみようと思っていた作品。これも新刊として購入。2021/12/10読了。取材した和田靜香氏が取材回数を重ねるごとに政治に対してどんどん理解を深めていく、そういう一市民の変化を読者が並走体験できるものではあるけれど、正直なところ、小川淳也氏の政策を紹介する本という印象。ただし現自民党政権に対する国民への不誠実さをまっすぐに指摘する言葉がたくさんあって、読んでいて再三胸のすく思いがした。増税した分を全て社会サービスと現金給付で国民に返していくことが前提の、消費税を毎年1%ずつ上げていくというアイデアはちょっと面白い。今の消費税増税は大企業への法人税優遇の穴埋めに使われているというのが私の認識で、納税する気を失わせている(だから可能な限り消費しない生活を目指している)。

 4:題名の通り公園の一日を描いた作品。『かぜはどこへいくの』のように、ゾロトウは時系列の叙事的作品が目立つような気がするが、これもその類。子どもが読む本だからと言って、子どもが公園の主役になる日中や放課後の時間帯のことに多くのページを割いてはいない。カップルのためにある夜の公園や、ホームレスの人たちのことまでしっかり描いていて、これを子どもに読み聞かせることで、「どうして家のない人がいるの?」といったような質問を引き出し、社会勉強にもなった。

 5:たまに行って、昼ビールを楽しんだりしていた大山崎美術館のことを紹介した新書。こんな本が出ていたとは知らなかった。引っ越して、遠くなって、なかなか再訪できないでいるが、いつかのために来歴等を読んで知っておこう。

 6:士郎正宗氏の未読漫画。1983年2月25日に発表された作品とのこと。攻殻機動隊は、この6,7年後に発表されたようだ。込み入った世界設定で、分かるような分からないような感じのまま、しかしぐいぐい読ませてくれる。仕事や信念のようなものに熱心・忠実な人間ドラマを読ませてくれて、満足。

 7:小林喜作という槍ヶ岳への道"喜作新道"の開拓した人物についてのノンフィクション。帯付だった。

 8:福音館の科学シリーズ。帯付。なだいなだが、巻末に解説というか紹介文というかをそのような文を書いている。2006年に同じ原作を翻案というかたちであらためて出版されたことが分かった。

 9:1968年5月1日発行のハードカバー。川の中州で巣作り、子育てをするこちどりのつがいとそのひなたちを描いた科学的な情報も含む絵本。鶏の卵と同様、こちどりの卵にもとがったほうと丸いほうとがあるが、絵本の中でこちどりは巣の中で産んだ4つの卵のとがったほうを中心に向けまるく4つ並べて置いた。転がっていかないようにという本能的な知恵なのかも。また怪我した真似をして天敵をおびき寄せ、巣から離れたところまで連れて行ってから、ぱっと飛んで逃げたりもして、なかなか賢い鳥である。

 10:リンク先は"限定版"と書いてあるが、今回入手したものは奥付では1965年10月1日発行とあり、裏表紙に"特製版"(ハードカバー)と記載されているもの。背が黄土色の布装に、その背にあるタイトル文字は銀箔押しになっている。小さい嘴のヒタキが、他の鳥の嘴自慢をどんどんと聞いていく話。食い違い嘴のイスカはもみのみを剥き出すための形になっていることだとか、話を読み進むほど、さまざまな形の嘴を持つ鳥が、何のためにそのような嘴を持っているのか、科学的な知識が自然と得られるようになっている。最後に、ヒタキが一番素晴らしい嘴を決めようと、嘴自慢の鳥たちみんなをあつめたところで、なんとそのヒタキがオオタカに攫われていってしまうという、あっけに取られてしまう衝撃的な終わり方。自然界の厳しさか。

 11:上村一夫二都物語」の其ノ十一「春霖」が掲載されている号。入力しながら確認したら、なんと既に所有している号だったようだ。ショック。2023/1/15に売却済。

 12:

 13:この本の原題は「VÍTEK NA VÝLETĚ」。ほるぷ出版から出ていた『わんぱくビーテック』と、収録作品の異同を確認したいところ。

 14:函入。

 15:月刊予約絵本「年少版・こどものとも」通巻166号のペラペラ版。折り込みふろくの「絵本のたのしみ」も挟んであった。

 16:びんぼうこびとが住んでいる一家は、人一倍働けども働けども蓄えができずにいる。そのことに気づいた主人が、びんぼうこびとをうまく言いくるめて、袋の中に封じ込めて、村はずれの水車小屋の石臼の中に閉じ込めておいてくることに成功する。そうすると一気に、この一家がお金持ちになっていくのだけど、一方で元々の村一番のお金持ちの嫉妬を買ってしまう。しかし、村一番のお金持ちが、びんぼうこびとを元の一家に戻そうとして、自分に取り憑かれてしまったので、村一番の金持ちの地位を失うことになる。メルヘンカラーの太田大八氏の絵が鮮やかで、表紙の色とりどりのピンク色も、読む前からどんな面白いお話を教えてくれるのか、期待せずにはいられない感じ。子たちや奥さんの金持ちでも貧乏でもウキウキしていて無邪気な感じも良いな。

 17:肉屋をしているおじいちゃんのトムとのふれあいを、孫のトミーの視点から描いた作品。説教くさいばかりのおじいちゃんならごめんだが、子どもとの付き合い上手なトムで、自分がしなければいけない家事をトムと一緒にしながら、とか自然に付き合えているのが素晴らしい。どうだろう、お店やさんをしていると、お客さん相手で人間に揉まれる経験が豊富なので、こんな接し方ができる面もあるのかな。

 18:裏表紙に「プリデイン物語 別巻2」と書いてある。2016年に復刊ドットコムで復刊されているようだ。別巻は全2巻、本篇は全5巻。本篇は指輪物語みたいなボリュームなので、ちょっとすぐに手を出す気にはなれない。

 19:

 20:1979年2月1日発行の月刊予約・科学絵本「かがくのとも」通巻119号のペラペラ版。みのむし(ちゃみのが)の生態について、簡単に詳しくなれる。みのは最初は葉っぱで作り、次に桜の花芽や皮を使ってみのを大きくしていく、最後に蛹になる前に小枝のみのに作り直す。オスのほうがメスより小さい。メスは、成虫になってもうじ虫様の姿で、しかもみのの中で過ごし続ける。オスがやってきて、交尾するときもメスはみのの中にて、卵をみののなかに産む。さなぎの期間は2週間、卵が孵るのも2週間。こういう科学絵本を読んでしばしば思い知るのは、それにしても人類は本当によく観察してきたものだ、ということ。

 21:第1刷は1972年だが、今回入手は1975年9月30日発行の第5刷。福音館の科学の本のうちの1冊。スピンが付いているのは、ややページ数の多い本だからか。科学の本のシリーズでは、別著者だが『幾何の冒険』という本もあるようで、そちらも見てみたい。

 22:

 23:著者名は、よしのまさあき、と読む。1978年10月1日発行の月刊予約・科学絵本「かがくのとも」通巻115号のペラペラ版。

 24:モンモンライブラリー5歳コースの10巻目に相当。発行は、毎日通信教育センター、とある。巨大なだけで丸っきりえんぴつの形をした灯台が、空に入道雲を描くと、その入道雲がうみのまほうつかいを自称して、あれこれ愉快な景色を作り出す。にわか雨のあとは、飛び魚たちの虹の演出。読み聞かせた時、子どもが、今一番食べたい魚は飛び魚だと日頃言っていたので、不意の飛び魚の登場に興奮した様子だった。

 25:1992年1月1日発行の月刊予約絵本「年少版・こどものとも」通巻178号のペラペラ版。折り込みふろく付き。しりとりしながら、冬の山での一日が展開する。そり遊びして、スケートをして、という顔色ひとつ変えないエネルギッシュなおばあちゃんに脱帽。

 26:はなののびるおうさまシリーズの第4巻に相当。

 27:味わい深い版画の絵本。狼の少年?じろきちが女の子を拾ってくる。すぐに食べようと言うと、とっつぁんが大きく育ててから食べた方が腹一杯食べられるじゃないかと知恵をつけたので、3年間育てた。その結果、じろきちはいよいよ食べようと言うとっつぁんに反発するほどに女の子に愛着が湧いてしまった、という話。とっつぁんは、おそらくじろきちが女の子を拾ってきた時点で、食べるのがかわいそうだと思っていたのだろう、そして、3年も育てればじろきちにも女の子を食べようなどとは思わなくなるだろうという魂胆があったのだろうと思われる。おおかみのじろきちと、牛のとっつぁんがなぜ親子なのか、そのところをよく考えてみると、もしかするとじろきちも捨て子(捨て狼)で、とっつぁんが哀れに思って育てたのかもしれない。であれば、とっつぁんの3年育てればの助言も、経験に裏打ちされたものということになる。

 28:著者の姪が11歳で脳腫瘍があることがわかり、幼くして亡くなったことを受けて、製作された絵本。表紙がおねえちゃんの背中の絵。おねえちゃんの影を追うように、おねえちゃんが気に入っていたもの、使っていたものを綴る。ものすごい点描画で、行ってしまった時を思い出す、頭の中の、想像や思い出の中のイメージを、しっかり伝えてくれる。よくも点、点、点の集まりが、この絵を保っているものだな、今にもその位置をばらばらと崩してしまいそうで、ひたひたと儚さを伝えて、胸に迫るものがある。

 29:日本のむかし話1。叩くと鼻が伸びたり縮んだりする太鼓を手に入れたげんごろうさんの話。暇に任せて、自分の鼻を天まで伸ばしたら、雷様たちの仕事を手伝わされる。その肝心のシーンが、見開きで2枚連続文字なし絵だけのページになっていて、思い切った作りになっている。最後、琵琶湖の鮒になってしまうというのも唐突で、何とものどかでおかしな話。

 30:一年生の女の子の持っている人形が、真夜中に森の学校に向かう。通学途中にいたずらされながらも、何とか動物たちの集まる学校について、無事帰ってくる。『よあけ』という絵本みたいに、楕円型の余白あるページと、全面に絵が展開しているページと、場面によってうまく使い分けられている。カバー袖に著者略歴がある。それによれば、1947年フランスのリオン生まれ。父はトランペット奏者、母はクラリネット奏者の、音楽一家だそう。

 31:絵本・すこしむかしシリーズの第1巻。

 32:偶然なのだが、この絵本の天に虫の卵が産みつけられてあって、うえっ、となった。ロシアでもゴキブリが出ると、人々はキャーとかゲェーとか大声を発して、飛び退いたりするのだろうか。本作では、小さなゴキブリに(でも最初は大きそうに見せかけて描いてある)全く太刀打ちできずに、混乱をきたす大小の動物や生き物がわんさと出てくる。要領よく逃げてしまうサルは、小賢しいタイプの例えば役人的な人間の比喩かな。王様はロバのように、この話でこんなちっぽけなゴキブリに踊らされるなんで馬鹿みたいと真実をずばり言い切るのは、何とカンガルー。でもカンガルーはオーストラリアにしかいないことを考えると、よそ者ならではの遠慮のなさがここでは発揮されたのだと思う。よそ者、若者、馬鹿者だったか、この三者が社会を変えるきっかけを与えるというような話を聞いたことがある。ごきぶり大王、最後はすずめにあっさり食べられておしまい。全体が韻文で書かれているのか、訳文もそんな風になっている。

 33:1968年10月1日発行のハードカバー版。絵柄からして、インドネシア影絵のワヤンで演じられている話を絵本化したものではないかと思う。

 34:1979年11月1日発行のハードカバー版。再話者は、かびらちょうしん。sねむってばかりいたじらぁという若者が、ある日ひょっこり起き上がって、しらさぎを買ってもらうように両親に頼む。そのしらさぎを用いて、金持ちの家の娘のおむこさんになる。おむこさんになったじらぁは、それからはよく働き、幸せに暮らしました、という話。しらさぎを用いて金持ちの娘のおむこさんになって、貧乏なじらぁの家の両親まで金持ちの家と一緒に暮らせるよう取り付けるという、この一発大逆転のアイデアは、じらぁがねむりながら考え出したものか、それとも神託なり降っておりてきたような発想だったのか。金持ち一家が、なかなか信心深く、こすっからいところがないので、全体に健康な物語だと感じた。褒められたものではないものといえば、冒頭のそれこそねむりむしでしかなかったじらぁだけ。

 35:昭和43年8月1日発行のキンダーおはなしえほんのペラペラ版。1910~1920年ごろ、浦賀である母子の鯨がつかまった時の話を、当時現場にいた一人に聞き及んだ作者が書いたバラッド。全体に七五調で書かれている。実際には子クジラは無事に海に返されたのかどうか、はっきりとは書かれていないが、死を予感したのか母鯨が打ち上げられた浜辺で涙を流したのをその人は見たらしい。富永秀夫のちまちまとかわいらしい絵だが、物語は母鯨が亡くなるという随分重たいもの。印刷色を抑えたページに、大人の漁師が登場するページが多いように感じられ、それが、子どもからみた大人の論理の非情さを表現しているようにも思える。寝る直前に読むには刺激が強かったか。別の話で少し心落ち着けてやってあげたかったかも。