■今日買った本。計3470円。
a)50m書店にて。
1・保坂和志『<私>という演算』新書館 ¥700
2・阿刀田高『ことばの博物館』旺文社文庫 ¥200
b)ブックオフ高松仏生山店にて。
3・杉山径一・文、北田卓史・絵『へんしんじどうしゃえんこくん』小峰書店 ¥570
4・多田ちとせ・文、太田大八・絵『なむチンカラトラヤーヤ』ほるぷ出版 ¥210
5・若林一郎・文、西山三郎・絵『かっぱとひょうたん』ほるぷ出版 ¥210
6・木暮正夫・文、斎藤博之・絵『おにの子こづな』ほるぷ出版 ¥210
7・渋谷勲・文、松本修一・絵『てんぷくちふく』ほるぷ出版 ¥210
8・樋口淳・文、梅田俊作・絵『とりのみじさ』ほるぷ出版 ¥210
9・望月新三郎・文、福田庄助・絵『いぬとねことふしぎなたま』ほるぷ出版 ¥210
10・瀬名恵子『とうふこぞう』童心社 ¥210
11・メアリー・リン・レイ・詩、クリストファー・サイラス・ニール・絵、鴻巣友季子訳『どこかでだれかがねむくなる』福音館書店 ¥210
12・佐々木マキ『そらとぶテーブル』福音館書店 ¥210
13・高橋宏幸・作/絵『たぬきのタンタきゅうきゅうしゃにのる』岩崎書店 ¥110
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昨日から上映が始まった映画をイオンシネマ高松東まで観に行った。その映画は、今のところ四国では、この一館だけでしか上映しないのだ。無事鑑賞を終え、a)の温泉で一息ついて、同行者を休憩スペースで待たせている間にb)とc)へ行ってきた。b)は、営業していなかったが、場所を特定することができたので、とりあえず次回につながる成果と思おう。
1:2020/7/2読了。
2:
3:数分走るだけでえんこしてしまう車「えんこくん」。主人公はやのはやお君の家の車。家族みんながえんこくんに愛想を尽かした翌日にさっさと新車に買い換えたのだけど、何となくえんこくんの行く末が気になるはやお君。中古車として売られたえんこくんが、とあるおじいさんの手に掛かって生まれ変わったはやお君の前に現れる。はやの家の決断の早さに驚かされる。扉絵ではやお君が手を交差させているのは、仮面ライダーなどの変身ポーズを真似たものだろう。こういうポーズがいつの時代まで読者に伝わるだろうか、などと思う。
4:4~9は、いずれも松谷みよ子と吉沢和夫が監修した「日本みんわ絵本」というシリーズ。寺に住むトラという猫が、夜中に和尚さんを真似てか、近所の猫を集めてお経をあげていた。それが和尚さんにバレて恥ずかしくなり、いなくなってしまうが、数年後に恩返しに人の姿となって現れ、近々和尚さんが活躍できる機会がくることを予言する。和尚さんはそのときトラに教えてもらった通りの振る舞いをして、富を得るという話。猫檀家(ねこだんけ)としても知られた昔話だそう。和尚さんは特に富を得ること、寺を大きくすることを特別望んでいないところが面白い。
5:長崎の民話。かっぱが置いた田んぼの水口の石を取り除いてもらいたくば、娘を嫁にくれ、と言われ弱った庄屋どん。三人娘の末娘が了承するのだが、嫁入り道具と称して水に沈まない空っぽのひょうたんをたくさん持って行き、かっぱに水底まで大事に運ぶよう言いつける。かっぱがどんなに頑張っても水面に戻ってしまうひょうたんに力尽き、川流れになり、末娘はかっぱの嫁にならずに済むという話。賢い末っ子が活躍する話は、例えば三匹のこぶたもそうで、記憶のどこかにももっとあったはずだがなあと探しているが、今書いていてすぐには思い出せない。西山三郎氏のきりえと配色が良い。かっぱが両手足を使って、必死に水中にひょうたんを運ぼうとしている様子や、裏表紙の田舎の風景の2つの絵が、特に好み。
6:黒雲に乗って娘をさらいに来る赤鬼、というのに珍しい印象を受けた。赤鬼と娘の間に子(こづなと命名された)が生まれ、娘の父(と思うが、爺さまと呼ばれている)が娘を探し当てにくる。それに気づいた鬼の難題をこづなの切り抜けながら、父娘こづなの3人が赤鬼から逃げ切る話。この手の民話の追いかけられるときのリズム感ある迫力は、読み手の気持ちものりに乗って、楽しいものだ。擬音語の選び方がちょっと独特なところも面白く感じた。
7:福島県の伊南村(いなむら)というところに住んでいたお婆さんから採集した昔話だそう。夢でさずかったという天の神様の福。はたらきもののおじいさんはそれを現実に畑の中に埋まっていた甕のなかの大判小判で手にするけれど、やっぱり天の神様のものだと思って、埋め直す。悪者じいさんが、それを奪うと、蛇でいっぱいの甕になっている。復讐しようと、良いおじいさんのところでその甕の中をぶちまけると、大判小判が降ってきて、天の福が降ってきた、となっておしまい。
8:とりの呑み込んだおじいさん、という意味のタイトル。きれいなとりを不意に呑み込んでしまったおじいさん。おへそからとりの尾っぽが飛び出てきて、それを撫でると面白い声が聞こえてくる。これが評判になって、殿さまの御前でも披露し、ほうびをたーんといただく。それで、隣のなまけじいさんが、今度はカラスを飲み込で同じことを企むが、出るものも出ず、殿様の前で汚いうんこをして逃げ帰る。話のオチが下ネタだけど、やっぱりこういうの面白い。
9:おじいさんが、木の股に白蛇が挟まっていたのを助けて、自宅でご飯を与えてやると、どんどん白蛇が成長して、世話できないくらい大きくなって、途方にくれていたところ、何やら察したのか、白蛇の姿が見えなくなり、代わりに金の粒を振りまく金の玉が現れる。しばらく幸せに暮らしていたところ、やがて金の玉が盗まれるが、おじいさんが飼っていたいぬとねこが、それを取り返しに行く。このような話は、呪宝譚(マジック・リング)と呼ばれて、世界的にみられるパターンの民話だそう。玉が盗まれたり、猫がくわえていた玉を取り落としたり、失敗もありつつ、最後はハッピーエンドになる、そういう物語の弾むような起伏を楽しんで読んだ。
10:お寺の小僧さんが、犬に襲われている豆腐小僧を助け、友だちになる。豆腐小僧から、お化けのなかまたち(一つ目小僧とかいろんなこぞうが出てくる)を紹介してくれているときに、天竺からきたという"こぞう"が囚われているという話を聞いて、皆で様子を見にいくのだが、そのこぞうはこぞうはこぞうでも……というオチ。巻末に作者の言葉が載っていて、草双紙という江戸時代の絵本のような漫画本のようなものが、お化けたちの元ネタにしているらしいことが触れられている。お化けなのに弱い豆腐小僧と人間の小僧なのに勇気のあるお寺の小僧という逆転したような対比が、創作としてうまいなあと思う。とはいえ、よく考えてみれば、瀬名さんのおばけえほんの主人公は、だいたいお化けに怖さを感じない元気な主人公だったなあ。
11:牧場で暮らす女の子が眠るのを、牧場の生き物たちが眠るのと対比させながら丁寧に描いた絵本。細部に仕掛けが多くあるように思う。時計の針はちゃんと動いているし、女の子の読んでいる本のなかには、登場した牧場の生き物たちが載っている。シルエットで馬と牛の違いが読み取れるし、小屋やトラクターの位置関係で、寝室の女の子を取り巻いている生き物たちの居場所や寝床がどこにあるのか判るようになっている。眠りと夢の世界に入っていく表現も、意識の飛躍がやはり丁寧に静かで美しく描かれている。最後のページだけが、ちょっと不満と言えば不満で、何となく押し付けがましい愛を感じるが、どう終わらせたら、自分にとって満足できたろうか。何となくだが、フェードアウトとズームアウトで自然体にそっと終わらせてあって欲しかったかな。
12:空き地に置いてあったテーブルの上に乗って、行きたいところをふと呟いたら、テーブルがびゅーんと飛んで、その場所まで移動した。そこで新たな友だち?に出会って、またその友だちが行きたいところへ飛んで行ってみて、と、それを繰り返す無邪気なお話。ペンギンおんどを踊っているときにテーブルの上の置いてあるマヨネーズに気がついて、それがいつ物語中で意味を発揮するのか、ずっと気になってしまうのは、作者の術中にまんまと引っかかったということだろう。読み終わって扉絵を改めて見てみると、空き地にたどり着く前は、どうやら買い物に行っていたらしいと推測できる。表紙の左右と下部にあるさまざまなマークは、魔法のじゅたんみたいに、魔法のお話ですよという雰囲気を暗に伝えていたのかな。
13:子だぬきタンタが、以前から乗ってみたかった救急車に、救急隊に化けて同乗し、現場を巡る話。軽い怪我なのに大げさに救急車を呼ぶ年配女性が登場するなど、少しスパイスも利かせてあるが、さすがにうまく助けられなかったエピソードは含まれない。身元不明のタンタが救急車に同乗していてもお咎めがないところが、絵本の優しい世界。