【ハーメルンに哭く笛】藤木稟 徳間文庫 ★★★★ 2005.5.3 探偵SUZAKUシリーズ2
二年半ぶりに読むシリーズ二作目。前作同様、謎やその他のエンタテイメント的要素の過剰さが圧巻。関東大震災からおよそ十年後の帝都が舞台。ネタは日本はもとより、韓国、中国、ドイツ、アメリカなどなどからふんだんに取り入れてあり、この時代設定にして、非常にグローバルな感じ。対する探偵の視野・知見もおかしなくらい広く、また物語は風呂敷を広げ過ぎて、事件の収拾に無理がないとは言えないが、伝奇作品と考えれば特に問題なく楽しめる。
裏で震災後の東京を取材したノンフィクションを読んでいるので、タイムリーではあった。比較して思うに、氏の場合は土地の歌を使ったり、庶民的な効果音による雰囲気作りが上手い。そのようなイントロが、かなりの確率で読んだ者の心を掴んでいるのではなかろうか。