yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

高瀬川

高瀬川平野啓一郎 講談社文庫 ★★★ 2007.5.24

 

 それぞれ味の違う四篇。

 「高瀬川」の地の文の硬質。このような文字を、そして文章を操っていたとしても、実際口から出てくる言葉は、幼い。大野氏自身はその辺り、どう折り合いをつけているのだろう。

 「追憶」は記憶の空間群そのものであり、結晶構造解析をしていた去る日々を思い出させた。最後の正射影像はない方が私的には良かった。

 「氷塊」は画面を二分した映像でも再現可能では。そんな映像作品があったら観てみたいものだ。