yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

東京に暮す

【東京に暮す 1928―1936】キャサリン・サンソム 大久保美春訳 岩波文庫 ★★★ 2008.5.24

 

 岩波文庫の青もの(背表紙が青のもの)は、何だかこましゃくれた、いやいや、偉大な思想書が多いので、手を付け難いオーラがある(ように私的には思う)が、これは全てのおきらく読書人にお薦め。タイトルの期間に、外交官の夫と共に、来日した英夫人の滞日記。“「東京での生活はいったいどのようなものですか」という友人や親戚の問いに答えるつもりで書いたもの”というものだから、当時の日本人(職人だったり、小間使いだったり、都会の男性・女性だったり)を的確でなくとも写実的に描写し、奇矯に見える風習などにはポジティブな我流の解釈をして聞かせたりと、キャサリン夫人の温和でほのぼのとした筆力で、抜群に読ませてくれる。
 一方で、昔日の素敵な日本人像(もちろん現代の素敵な日本人もいる)に触発されるものもあり。ここに出てくる日本人の気っ風の良さや礼儀正しさに、ぴりっ。

 

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 寝ている人の頭の上を跨(また)いではいけません。