【迷路のなかで】ロブ=グリエ 平岡篤頼訳 講談社文芸文庫 ★★★★ 2009.2.19
目眩のする小説は、「ドグラ・マグラ」や「匣の中の失楽」、「ペニス」、「バナールな現象」など、これまでいくつか出会ってきたのが、その系列・類いに属するこの作品はすごい。頻度が飛び抜けていて、ひっきりなしの目眩を齎す小説。こうなれば、というかむしろそのように狙ったのだと確信するが、目眩こそが主役。ストーリィは副次的な地位しか与えられていない。“在来の小説でなじんできた習慣”に殴打一発食らわせていただきました。 <
最初は、絵画を言語化——その構図や質感、抱いた感想を言語化——それも極めて精密に、執拗に、強迫的に——するような文体が新しいというか、私的に新鮮に思ったが、その頃はまだまだ視点がミクロ的だった。ありとあらゆるページで共有される単語や文で、全体がざくざくと串刺されている。目眩を別にしたらちょっと、はてな(Hatena)っぽい。
ロブ=グリエ氏は映画製作にも関係が深いらしく、今度是非「去年マリエンバートで」を観てみたい。
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「去年マリエンバートで」の監督は「夜と霧」のアラン・レネ。
ド
なし
匣
なし