光ってみえるもの、あれは

【光ってみえるもの、あれは】川上弘美　中公文庫　★★★★　2009.7.12

　読みやすいのだけど、今作はあまり好みではなかった。所謂ボーイズラブ的な場面が満載で、僕と花田の関係が、男性の私には現実味がないように思われ、どうにも感情移入できないところがある。マムシに咬まれた箇所を口で吸い出すのは、吸い出す方も危険だし、吸い出される方も危険で、決してすすめられたやり方ではないと思う。一方で、高校生にしては語彙力があまりに長けていると思われるけれど、そこはむしろ好ましかったりするので、勝手なものだ。

　小値賀島、野崎島が出てくるのが個人的には壺。野崎島では確かに蛭が出るが、私はその害を被ることはないままに終わった。