yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

弥勒の掌

【弥勒の掌(て)】我孫子武丸 文春文庫 ★★★ 2009.8.19 本格ミステリマスターズ

 

 巽昌章が解説で上手いことを言っているが、全くコンパクトな小説。いつもすったか読める我孫子小説のリズムは、久々に触れたが相変わらず堅調で、これだから、新作が出るといつか必ず読もうと思わせてくれる。

 宗教団体の話が絡んでくるのだが、この感想をいざ書こうというときに、勧誘の人が訪宅してきた……。それはそうと、某所で「弥勒信仰のアジア」が紹介されていたのに刺激を受けて、弥勒つながりで本書を読むことにしたのだが、本文読了後、参考文献として一行、上記の本が示されており、個人的にはちょっとした驚きとなった。

 章立ては、視覚的には魅力的だが、中盤ぐらいから主観が曖昧になるために、あまり上手いものとは言えないと思う。