【ウィタ・セクスアリス】森鴎外 岩波文庫 ★★★ 2006.6.24
世紀が変わった今読んでみると、それこそもう何を書いているのか掬(すく)い切れないくらい慎ましく書かれている(「O嬢」の慎ましさは、心理描写におけるもので、先立つ事実ははっきりと書く)けれど、(出版された当時ではなく)書かれた当時としてはなかなか危険な書物だったようだ。
私も全く跋陀羅(ばだら)的なポーズに象徴される様子で毎日暮らしている。そのせいで、自分でももはや地極の底が見えなかったり、あるいは感じ取れなくなったり、くっきりとした像を浮かび上がらせることも困難に……という風に、勢いで書き連ねてみせて、ばたりと投稿ボタンを押すのだ。