【むずかしい愛】イタロ・カルヴィーノ 和田忠彦訳 岩波文庫 ★★★ 2007.10.8
川上弘美がカルヴィーノの「柔かい月」を(この本の中で)推していたのを覚えていて、いつか読もうと思っていたところに、カルヴィーノの別の作品が先に見つかったので、まずはこちらを読んでみた。
さまざまな人の12の冒険が書かれるが、私の実経験に似たようなものを含んだ兵士や旅行者や近視男の冒険あたりに驚いた。その状況に陥ったときに湧き起こる逡巡やら瞬発の冒険心やら、それにありがちな台詞やら、それらのどこまでを想像ばかりで書けるものだろうか。少しでも似た感覚を、経験をカルヴィーノと共有しているような気がして、一方的に親近感を抱いてしまう。
河出文庫で数冊出ているので、今後も追っていくつもり。
***
「こんな時間に起きている人種は二通りに分けられる。まだの組と、もうの組にね」