yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

シーズ ザ デイ 下

【シーズ ザ デイ 下】鈴木光司 新潮文庫 ★★★★ 2005.7.4

 

 長篇だけあって、後半の物語の集束感、ドラマの畳み掛けが気持ち良く、メッセージ性の強いエンディングも素直に心に沁みていった。「白い嵐」という映画と少し類似するところがあって、似たような壺を押された。

 それにしても月子が恐い。船越はラストで許したが、私はとてもじゃないが許せないし、そんな器を持たない。船越とは別の、どれだけの人生経験が月子を寛容出来るに足るだろう。

 登場人物の名前に、かなり意識的なものがあるように思われる。海・ヨットつながりで船越・水上、陽子・朝代の性格は日の出を思わせる積極的なものだ。対する月子は、狂気を司る月を冠されている。開地も時代性から成る程と思わせる名だ。