【つげ義春を旅する】高野慎三 ちくま文庫 ★★★ 2005.8.12
写真が多いのでさっと読めた。つげ義春やその作品についてのピルグリメイジ。
こういう本はつげの作品に対する私的なイメージを、悪く言えば歪められるのであまり読みたくないが、それでもよりつげに近い高野氏が見るつげはどんなものかと抑えられぬ好奇心から読まざるを得なかった。
つげの鄙里や温泉の旅ものに関する高野氏の記事が良かった。公的なつげの言と作品だけを元にしたピルグリメイジであり、つげの一般読者にもそれができそうな旅である点が、旅心をそそる。でも行ったら行ったで、求めていた鄙が断片程度しか感ぜられず、そこからもやもや想像を膨らまして満足せざるをえない辛気臭い旅になりそうだ。
古き良き東京に関する記事については、あまりに生のつげに接近しているので、忘れるような読み方をしてやり過ごした。
読んだことのないつげ作品の引用が幾つかあったので気になる。文庫で出て欲しいのだけれど。
